日印関係とそのポテンシャルを考える

グローバル

(弊社のメルマガでお送りした内容を再稿しています)
インドのナレンドラ・モディ首相が5日間の滞在予定で日本を訪れています。戦後世代初の新首相が初外遊の相手国に日本を選んだこと、多忙な安倍首相がわざわざ京都まで出掛けて一日掛けて古刹を案内したことは、両国家首脳の個人的シンパシーと、両国の蜜月振りを世界にアピールしたかったことを示しています。

政治的に「敵の敵は味方」とばかり、中国との国境紛争を繰り返してきた経緯に注目した安倍政権が戦略的パートナーシップを持ち掛けてきた成果です。モディ首相はその経済政策における手腕が高く評価されて選挙で圧勝したばかりで、アベノミクスばりの(外資勧誘のための)「インフレ退治、インフラ整備、規制緩和」の3方針を掲げています。政治信条的にはヒンズー至上主義・民族義勇団メンバーという保守・民族派です。そして実務的には中国との経済・貿易関係には神経を使いながらも、中国の拡張主義には反対する姿勢を明確にしています。実に2人の政治家のスタンスは似ており、互いに個人的シンパシーを感じていることは不思議ではありません。

実は世界最大の民主国・インドは有数の親日国でもあります。遠くは日露戦争によってインド人の民族独立意識が覚醒。第二次世界大戦時には、日本の支援を受けたチャンドラ・ボースが樹立した自由インド仮政府が、日本軍とともに英米相手に戦っています。一旦は挫折したかにみえた祖国独立の夢はガンジーとネルーに引き継がれ、大弾圧による多数の死傷者を出しながらも2年間不屈の反英闘争を展開、ついに独立を勝ち取ったという経緯があります。

インド人の大半は、日本が白人列強に対し(無謀にも)戦ってくれたお陰で独立のきっかけを掴めたことに感謝しているそうです。また、戦後の平和外交、産業復興、技術立国にも並々ならぬ尊敬と憧れを抱いてくれており、インド人ビジネスパーソンの日本訪問も急増しています。

ところが日本は中国・東南アジアにばかり関心を寄せ、インドへの興味は高まりませんでした。しかしようやく最近になり、経済的に少しずつ豊かになり始めたこの地域大国に日本の産業界の関心が向き始めているようです。人口の多さから発想される消費市場としてだけでなく、優秀なエンジニア人口の厚みは開発拠点として、まじめな勤務姿勢は製造拠点として、大いなる魅力です。加えて、印僑の人脈は中東や北東アフリカにまで広がっており、インド企業と提携することでそうした地域への足掛かりを得る可能性も小さくありません。

間違いなく両国の政治・経済的関係は今後着実に深まり、発展することでしょう。有力政治家の思惑といった短期的な要素を超えて、両国の補完関係が理想的なためです。しかも歴史的にも尊敬すべき要素こそあれ、いがみ合う要素が全くないという、珍しいほど望ましい関係です。

こうした状況にあって、弊社にも幾つかインド企業からの打診や問い合わせが来るようになっております。多くは「こういう商品・技術を持っているが、日本企業は興味を持ってくれるだろうか」といった相談ですが、中にはコンサルを含む企業から「日本企業のパートナーを探している」といった相談も出ています。近々、日本企業のインド進出のサポートや、インド企業の日本進出といった案件で結実することを期待しております。もしかすると近々、インド進出も当社のサポートサービスメニューに追加されるかも知れません。