ネットを取り込み、リアルならではの強みを活かす

ビジネスモデル

本日、9月1日(月)のワールドビジネスサテライト(TV東京系)の特集「反撃する“リアル店舗”」は最近追いかけているテーマでもあり、興味深い内容でした。

要はShowrooming化の罠からどう抜け出すか、ということです。最近は店舗で現物のテイストとサイズを確認した上で、実際の注文はネット通販でしかしない(小生からすれば「猛者」です)という消費者が例外でなく、普通になってきているそうです。小売としては大変な時代です。

番組で最初に取り組みが紹介されたのは靴のABC Martです。店に来た客の好みの品の在庫が現場にない場合、その場で店員がiPadで本部在庫を調べ、そこで注文してもらえば自宅に直送する、という仕組み(iChock)ができているのです。

次はDIY業界。大手のCainzホームでは全商品の4割がPBという比率だそうですが、大阪にある専門店、DIY Factory Osakaでは業界大手のNBが主力。その場で試して気に入ったお客に対し、店員は自社のネットショップでの購入を勧めます。事実、そのほうが安いため、大半の客は喜んでその通りにします。

しかしこの会社の社長、実物(特に実演販)を見て買う気になってもらうリアル店は欠かせないと言います。目的買いではなく、ぶらぶら店内を歩いていたら興味をひかれて、つい買ってしまう。こんなパターンはリアルの店舗ならではの買い物の楽しみですからね。

しかもリアル店での展示コーナーはメーカーからすると新商品展示により知名度を上げ、ユーザーの反応を得るのに絶好です。この店では何と25社のメーカーから展示料(月数万円)を徴収しているそうです。それによりこのリアル店舗の賃料はほぼまかなえるというから驚きです。賢いですね。

7&iグループの「オムニチャネル」戦略の追求に代表されるように、リアル店舗とネットを融合させることで、より便利で有難いサービスを開発しようと、各社しのぎを削っていることがよく感じられます。逆に云うと、こうした知恵を絞らずに旧来のままのやり方でのほほんとしている小売業はやがて経営的に苦しい局面を迎えることは間違いないでしょうね。