日産は何を間違えたのか

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さる2月13日に発表された日産自動車の第3四半期連結決算(2019年4~12月期)はかなり悲惨かつ冷酷なものでした。営業利益は前年同期比82.7%減の543億円で4年連続の減益となり、中間期に引き下げた通期予想も再び下方修正しました。

日産によりますと、第3四半期累計のグローバル販売台数は同8.1%減の369万7000台。内訳をみますと、中国はほぼ前年同期並みの109万1000台、日本は同6.9%減の38万1000台。米国が同9.1%減の98万台。ロシアを含む欧州は同16.2%減の39万5000台。アジア・オセアニア、中南米、中東、アフリカをはじめとするその他市場は同11.5%減の54万7000台。各社の報道は「伸び悩んだ」としていますが。完全に「落ち込んで」います。

https://global.nissannews.com/ja-JP/releases/release-d713f71791ab3e6adcd6fdc275002c6b-200213-01-j

結果、売上高は同12.5%減の7兆5073億円で3年ぶりの減収。営業利益は同82.7%減の543億円、経常利益は同70.0%減の1414億円で、ともに4年連続の減益。純利益は同87.6%減の393億円で2年連続の減益となりました。中国を除いてすべての側面にわたって明らかに落ち込んでいます。

(以下、自動車市場と関係のあるプロジェクトに継続関与しているために、気になってグローバルの市場状況をウォッチしてきた視点で、多少辛口かもしれませんが述べます。極力冷静かつ客観的な目で見ています)。

日本での落ち込みの理由は、消費税増税や台風の影響などで全体需要が減少したことに加え、商品車齢が高くなってきたことなどを日産は挙げています。しかし前者については競合他社よりも落ち込みが激しいことを忘れてはなりませんし、後者はモデルチェンジが進んでいないことを意味します。

要は日産が魅力のある車を出せなくなってきたため、他社に先んじて売れなくなっているということです。実際、この1~2年ほど日産から魅力的なクルマは発売されておりませんし、近所のカーショップを外から覗く限り日産のディーラーには休日といえども来客は滅多にありませんでした。

ではこの間、日産という大企業は何をしていたのでしょうか。そう、ゴーン元CEOの逮捕・放逐・起訴などでマスコミに追い回される一方、クルマの開発という本業に関して「エンジンが回っていない」状態だったということでしょう。その間も経営トップ諸氏には高額の報酬が支払われていながら、肝心の仕事をしてこなかった「つけ」が、今になって回ってきているということです。

この決算結果と業績予想の悪化を受け、S&Pによる日産の長期格付けは一段階低下し、BBB(トリプルB)になっています。「財務力は高いものの、長期的には債務履行の確実性に不足する要素がある」と評価された場合に付与される格付けです。さすがに内部留保は潤沢だけど、稼ぐ力が落ちたという評価ですね。でもこの格付けは早晩、さらに格下げされるでしょう。

そして通期連結業績見通しについては、業績の低迷や全体需要の鈍化が続くことを想定し、第2四半期決算発表時(2019年11月12日)に続いて下方修正されました。売上高10兆2000億円(前回予想比△4000億円)、営業利益850億円(同△650億円)、純利益650億円(同△450億円)と軒並み低下しています。

これはコロナ禍の世界的拡大を考えれば、むしろまだまだ甘い見通しだと思えます。

第3四半期では横ばいを維持した中国市場は今や極端に縮小しております(競争力のあるメーカーでも直近は前年比2~3割に落ち込んでいます)。稼ぎ処の米国市場ではすでに(長きにわたり販売インセンティブをつけ過ぎたため)日産のブランド力も、(新車が出ないことで)商品競争力も落ち込んでいるところに、最も新型コロナで失業率が急増しているため市場の購買力が極端に細っています(こんな時にクルマを買い替える消費者は滅多にいません)。

日本市場も同様です。外出自粛が続く中でわざわざクルマを買い替える人がいるでしょうか。他メーカーの人たちも半年くらいは需要消滅を覚悟し始めているくらいです。ゴーン氏の無軌道振りとそれを許してきた日産幹部に「裏切られた」と感じて憤慨した日本の消費者が、わざわざ魅力のない日産車を選ぶでしょうか。

以前の経営危機の際には同情した消費者も少なくなかったでしょうが、今回は誰も同情しません。「自業自得」と思うだけです(ちなみに私個人としてはフランス車ファンなので、初めから除外しています)。日産の窮状は始まったばかりで、これから本格化するとみるべきでしょう。

強欲な経営者が好き勝手をしまくって、他の経営陣が(わが身可愛さに黙認して)その暴走をずっと止められず、あげくに会社としての方向性や一体感を失ってしまうと、どんな優秀な人材が集まっている名門企業でも崩壊に至るのは意外と早いということです。たとえ前回の危機の記憶が風化するにはあまりに短い期間であっても。