日本基準の「食の安全」を世界に広めよう

グローバル

12月16日(月)の未来世紀ジパングは「危険!?中国食品問題の実態に迫る!」。

中国国内のみならず日本でも不安視されているのが、中国産の食材の安全性。番組では、中国食品の生産現場から流通、そして市民の食卓までを徹底取材した。すると農村では依然、大量の農薬が平気で使用されている実態が分かった。都市部に流通する生鮮野菜は販売が禁止されている猛毒が含まれ、着色した果物まで売られていた。

残留農薬が心配される野菜。では都市の市民はどう自己防衛しているのか。安全を気にしている人は、市場では入念に野菜を選び、自宅で料理をするまでにも念入りに洗う。上海などの家庭で今、売れに売れているヒット商品が野菜洗浄機。「一家に一台」という必需品だと言う。15分ほどで農薬の80%を洗い流せるというが、それも中国製。どこまで信用できるやら。

危険な食品を排除しようという動きも始まっている。民間調査員「食品Gメン」なる人物が動き出していた。彼らは市場やスーパーなどを回り、自分の目と鼻で、危険な食材を販売する業者の摘発を行っているのだ。取材班は大手スーパーでの抜き打ち調査に密着。そこで発見した怪しい食材を公的機関に持ち込んだところ、驚きの劇薬が発見された。それにしても「洗えば農薬は落ちる」といってなかなか検査しようとしない上に、「大手スーパーだから大丈夫」という検査員には驚いた。さすが中国の役人。カネになりそうにない仕事はなるべくしない。

昨今、中国で新聞紙上を賑わせる危険な食材がある。湯葉である。名産地として知られる町では、連日の報道にも関わらず市民たちは日常的に食べていた。生産現場に行ってみると、食品のすぐ脇に牛や豚が飼われ、非常に不衛生な状態。しかしそれ以上の問題は、食品の製造過程で混入される食品添加剤が加えられていることだった。摘発された経営者が「入れないと売れない」と話す添加剤とは、中国政府でさえ禁止している毒性の強いものだった。閉鎖を指示された元工場経営者は、「添加しないと食感が悪くて売れない」と開き直っていた。食の安全より利益優先ということだし、消費者がそういうものだと思い込まされているということだ。

中国国内でも消費者の安全への意識は年々高まっており、中国の食品メーカーも変わりつつある。残留農薬や重金属などを検出する分析機器で、中国でもトップシェア(4割)を誇るのが日本の島津製作所。日本の検査機器が中国の製造現場に欠かせないものになろうとしている。中国人でも自らの提供する食の安全に誇りを持ちたい人たちがいるのだと安心した。

更に生産現場では、日本のノウハウの導入も始まっている。天津市郊外で生鮮野菜を作る巨大なビニールハウスの農場。中国企業とタッグを組むのが、日本の有機野菜生産と宅配を手掛ける「大地を守る会」。目指すのは生産者の顔の見える野菜作り。これまで、中国では「当たり前」の農薬大量散布で栽培していた農家たちには「目からウロコ」の話が多い。そんな中、ハウスで使っていないはずの残留農薬が見つかった。使用を禁止していたはずが、なぜ…。結局、以前にその土地で使って蓄積されていた残留農薬が出てきたのだろうと推測された。

未来予測は「日本基準が世界基準に!」。中国国内の危険な食品を日本に持ち込ませない。日本の水際対策と食の安全への基準に、検査技術や有機無農薬農法などが世界に広まり、世界基準になっていくと言う。すでに日本の食の安全を守る技術は世界各国から高く評価され、アジアをはじめ南米やアフリカからも研修員を受け入れ、検査技術やシステム構築の指導をしている。着実に世界に広まりつつあるのだ。事実、日本の水際対策たる輸入時の検疫検査システムは世界一厳しい。その中で中国の違反率は急速に下がって平均(0.6%)よりずっと低く(0.25%)、今や米国(0.81%)のほうがずっと悪い。

現在アメリカが主導して交渉が行われているTPPでも、関税や輸入量だけでなく、食の安全基準を巡って水面下で駆け引きが行われている。ここで日本基準が採用されれば、世界の食の安全性も高まり、日本にとっても大きなチャンスとなるだろうと番組では予測した。中国が加盟していない今のうちに高い基準を定めてしまえば、世界の趨勢を決めることになろう。利益のために他国民の食の安全を揺るがす米国流の押し付けだけは受け入れてはいけない。

それにしても日本の検疫検査システムが世界一厳しいことを訊いて、安心かつ誇らしい気分になった。