奇跡の温泉宿は人間の究極の贅沢を刺激する

ビジネスモデル

2月5日に 放送されたTV東京系「カンブリア宮殿」を録画ゆえに随分遅れて観ましたが、とてもよかったです。タイトルは「一度は行きたい奇跡の温泉宿!観光の常識を変える独自戦略」。海外出張前のバタバタの中ですが、観ておいてよかったです。

主人公は雅叙苑観光社長の田島 健夫(たじま たてお)さん。とても魅力的なオジさんです。観光業の常識を打ち破る、独自戦略を持つ人物ですが、同時に子供の軽やかな精神を持つ楽しい人でもあります。

世界のセレブを魅了する“奇跡の宿”、「天空の森」。鹿児島空港からタクシーで20分、人口7400人の過疎地、鹿児島県霧島市の牧園地区にあります。この霧島という土地、あることでたまたま多少の知識があるのですが、とても土壌がよく、水がきれいなのです。

美しい山の斜面に展開するのは360度見渡せる里山。まったく絶景です。四季折々の植物が出迎え、誰もが懐かしさを感じさせる空間に点在する部屋は、1泊20万円!!

この天空の森が凄いのは、東京ドーム13個分の敷地に5部屋しかないのです。隣の宿泊客の気配さえしない空間と絶景の中にある露天風呂。霧島連山を見渡す大自然の中に、日常を忘れてどっぷりと浸る。これは本当に“奇跡の宿”、さすがの価値です。

ここ、社長の田島氏が10年以上の歳月をかけ、自ら山を切り開き、少しずつ作り上げた“手作り”の施設なのです。ここに至るまでのストーリーにも感じるものがありました。

天空の森から車で10分の、山間の小さな温泉街、妙見温泉に田島氏の原点があります。田島の母が営んできた湯治場、田島本館の近くに、木造2階建ての旅館「雅叙苑」を開業したのがスタートです。しかし客は全く来ず、仕方なく近くの発電所の工事作業員向けとなりました。激安宿で、果てはストリップの出張サービスまで行われるようになっていったそうです。

田島氏は悩み考えた末、都心に出てヒントを求めました。理想の旅館の姿を実現しようと決意したのが「都会にない、故郷のような風景を客は味わいに来るのではないか」という思いでした。そして朽ち果てようとしていた茅葺きの古民家を次々に移築し、全く新しいコンセプトの宿「忘れの里・雅叙苑」を人気旅館へと作り上げていったのです。

そしてその手造り経験が今の「天空の森」へのステップになったのです。その土地にしかない自然の美しさを極限まで研ぎ澄ますとき、どんな人をも魅了する宿が出来上がるのですね。