ゲノム編集のインパクトとポテンシャル

ビジネスモデル

ちょっと前から注目している新技術がある。ゲノム編集だ。色々と考えると凄いことになりそうだ。

7月30日(木)に放送されたクローズアップ現代でもこの注目の技術を採り上げていた。題して「“いのち”を変える新技術 ~ゲノム編集 最前線~」。録画してあるのを2度も観てしまうほど、実にインパクトのある内容だった。

和歌山県・白浜町で、京都大学と近畿大学が共同でゲノム編集をしたマダイを育てている様子が最初に映される。2014年春、受精卵の段階でゲノム編集を行ったのだ。

1年余りがたった今、同じ時期に生まれたタイの1.5倍の大きさ(体幅4.6センチ)になっている。目的どおり、タイは大きく成長しており、食品としての安全性が十分に確認できれば、3年後には市場に出したいとしています。

生き物の遺伝子を構成する4種類の「塩基」。それぞれの塩基は、特定のタンパク質などと結合することが分かっている。目的の遺伝子と結び付くタンパク質などを並べ、それを細胞の中に送り込むと、何万もの遺伝子の中から目的の遺伝子を探し出して結合する。これに遺伝子を切る物質を乗せておくと目的の遺伝子を切断し働かなくすることができる。こうして行うのがゲノム編集だ。

京都大学農学研究科の木下政人助教は「魚の品種を改良するのに偶然を待っていれば、100年とか200年かかります。ところがこのゲノム編集だと数年でできる」という。確かに。

国内ではほかにも、収穫量の多い米や腐らないトマト、養殖しやすいおとなしい性質を持つマグロなど、ゲノム編集を利用した品種改良のプロジェクトが始まっているという。

ゲノム編集はヒトに近い動物でも行われるようになっている。薬の効き目などを確認するために、研究用に飼われている小型のサル、コモンマーモセット。受精卵にゲノム編集を行い、免疫が働かない病気の状態を再現したのである。

実験動物中央研究所の佐々木えりか氏によると、マウスよりもヒトに近い動物なので、薬の効果をより的確に確認できるという。ほかにも糖尿病やがん、神経疾患など、さまざまな薬の開発につなげたいとしている。

番組ゲストの山中伸弥氏(京都大学iPS細胞研究所所長)によると、「このゲノム編集の技術というのは、私自身が基礎研究を始めてもう25年くらいになりますけれども、その中で出会った技術の中でも…一番すごい技術じゃないかなと思っています」とのことだった。

「今までの品種改良は、多くの部分は偶然に生じる遺伝子の変化、これに頼って長い年月をかけて少しずつ品種改良をしてきたんですが、今回のこのゲノム編集というのはもう狙い撃ちで、この遺伝子、この機能のこの遺伝子をこう変えて、そして自分たちの人類にとって役に立つ品質に変えようという、しかも短時間で。今までちょっと考えられなかったような技術ですから、研究者としてもいまだに驚きの気持ちでいっぱいです」。そうなんですね。

「5年ぐらい前に突然出てきたこのゲノム編集という技術は、どんな種でもどんな人間であっても、ネズミであっても植物であっても、魚であっても使えますし、効率が非常に高いんですね。…数十%の成功率を誇りますし、それから一番大切なのは、技術として簡単です。
非常に単純な技術で、簡単な遺伝子工学の知識のある科学者だったらもう誰でもできる技術ですから、本当にこの3つが簡単で成功率が高くて、いろんな種に適用できる、いろんな生物に適用できるという、この3つがそろっている技術というのは、ちょっとほかに今までなかったんじゃないかなと思います」と。

ここまで効果的な技術には期待したいのは当然だが、同時に倫理的な問題をはらんではいないのか。また、生物学的・遺伝的な操作をすることで、地球上の生物体系にとんでもないリスクの種をまくようなことにはならないのか。そうした面での検証も是非、お願いしたいものだ。

今回の内容はもしかすると、近いうちに読み返す(または観返す)かも知れないので、URLを以下に残しておくこととする。
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail02_3694_all.html