ウクライナ戦争終結へのシナリオ

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ロシアによるウクライナ侵攻から1年が経過しました。戦争終結へのシナリオは、公にはまったくと言っていいほど語られておりません。この戦争は既に我慢比べの領域に入っています。

報道によるとウクライナ軍の士気は非常に高いままです。西側諸国からの戦車や弾薬、最新兵器がまもなく到着・配備されるという期待が「祖国防衛」の任にあたる兵士たちを鼓舞し続けているのでしょう。そしてあれほど悲惨な状況にありながらも、国民の士気もまた衰えるどころか、益々盛んだと伝えられています。

それに対しロシアはまだら模様です。日本を含む西側先進国の経済制裁で国民は物資不足と物価高に苦しんではいますが、政府の情報統制は実に強力で、プーチンへの支持率はいまだ高いままだと伝えられています。尤も、開戦以来の若者と富裕層の国外逃亡は10万人以上とも言われていますので、中長期的な国民生産力は大きく衰えつつあることは間違いありません。

一方短期的には、天然資源の価格高騰と中印による抜け駆け輸入で、ロシア政府の財政的な打撃は意外と少ないことが判明しています。でも(特に半導体を必要とする戦車や戦闘機、ロケット砲などの)武器生産能力はどんどん落ちており、ましてや前線における人的損害の大きさは死傷者20万人以上と言われており、兵士の士気も上がっておらず、ロシア軍の継戦能力に関しては大きな計算違いが生じているようです。

つまりロシアで一番弱い鎖の輪は軍なのです。こうした物資と人員の補充に四苦八苦する状況に起因し、軍の中ではこの戦争に対する不満が大きく渦巻いているという情報があります。

こうした各種情報を分析すると、このウクライナ戦争が一旦でも終結するシナリオは、次の3つほど考えられます。①西側諸国の支援疲れが表面化し、武器調達が完全に不足する前にウクライナが不本意ながら領土割譲に同意して停戦する(完全終戦ではなく、数年後にロシアが再侵攻する可能性が高い)、②プーチン大統領が病気等で急遽引退または死亡し、ロシアが一方的に不利な条件で撤退する、③ロシアでクーデターが起き、新たに成立した軍事政権が国内を掌握するため、平和的撤退を主眼とする停戦合意をロシア―ウクライナ間で結ぶ、といった具合です。

最後の3つめに関し補足します。ジャーナリストが徹底弾圧され反政府デモさえ許されないロシアでは、プーチンが国内政治的に敗北して退陣する可能性は限りなくゼロです。でも、さらにこのまま苦戦が続けば、責任を取らされる軍幹部の首のすげ替えが頻発する事態が表面化し、それを嫌がって軍によるクーデターという荒業が表面化する可能性が少しずつ出てきているのです(多分、英米独仏はそれぞれ独自チャネルを使って露軍幹部に働き掛けているはずです)。

では軍事支援ができない日本に所属する我々には何ができるでしょうか。このウクライナ支援は世界の民主主義を守る意味合いが強いため、通常の人道支援以上に重要かも知れません。

(②や③が現実化する前に)①の西側からのウクライナ支援疲れが表面化しないよう、G7議長国としての政府のウクライナ支援の姿勢を支持することがまず一つです。もし身の周りにウクライナからの難民がいたら、何らかの手助けをしてあげてください。そうした機会のない普通の市民である我々としては、国際NGO機関を通じた寄付が一番簡単で現実的だと思います(関係サイトからクレジットカードで支払えます。可能なら先月発生したトルコ・シリア大地震に対する支援もしてあげてください)。

できる範囲で構わないので、是非考えてみてください。