ZOZOスーツの失敗に見る現代人気質

ビジネスモデルブログ

ZOZOタウン運営会社の株式会社ZOZO(旧名: スタートトゥデイ)は最近少し調子が悪くなっているようです。

創業者の前澤社長が月旅行や1億円プレゼントそして女優・剛力彩芽さんとの交際などと派手な話題を振りまいていた一方、先頃発表された2019年3月期の業績予想が2007年の上場以来、初の減益の見込みとなったとの報道がありました。

PB事業で125億円の赤字を計上する見込みというのがその主因ですが、端的に言って「ゾゾスーツ」の見込み違いです。無料配布した「ゾゾスーツ」で計測ができないなどのトラブルが相次いだほか、「ゾゾスーツ」の生産・配送にも遅延が生じるなど問題も生じたとアナリスト向け会見では語られていました。

しかし一番の問題はゾゾスーツを無料配布したのに、計測して注文する人が想定よりも少なかったことが大きいのです。

日経 xTECHがゾゾスーツを注文した顧客に聞いてみた独自調査結果を見るとちょっと呆れ返ります。なんとゾゾスーツ所有者(つまりゾゾスーツを無料で受け取った人)のうち約4割がサイズを計測しなかった、もしくは計測できなかった事実が明らかになったのです。

11.5%は「着用して計測したが、計測に失敗した」というもので(この中には本当に計測できなかった事態と、おかしな計測のために届けられた品がサイズが合わない事態の両方が含まれよう)、これはゾゾスーツの機能上の問題が露呈した訳で、あらかじめ懸念されていた点です。

しかしZOZOにとってショックなのは、「着用したが、計測していない」が10.3%、「着用していない」がなんと17.3%にものぼることです。要は1/4以上が、計測のためのゾゾスーツを受け取っておきながら、実際には計測していないということです。

着用しなかった17.3%の顧客に理由を尋ねたところ、「着用が面倒くさくなった」が46.3%と最も多く、次に「無料だったのでとりあえず頼んでみただけだった」(40.7%)、「届くまでに興味が薄れてしまった」(38.9%)という回答とのことです。「着用したが、計測していない」人たちの事情も似たようなものでしょう。

何なんでしょう、この連中は。ZOZOとすると、せっかくよかれと思って企画・生産し無料で届けたのに、いい加減な気持ちで応募だけして試してもくれない人たちが1/4もいるということです。「無料で配る」ということがこんなにモラル崩壊につながるということかも知れません。

無料でなく例えば500円をコンビニ辺りで払い込むようにしておけばどうだったでしょう。応募する人は半減、いや1/4に減ったかも知れませんが、その大半は実際に計測し、注文したのではないでしょうか。

とはいえもう後の祭り、ゾゾスーツは廃止と決まったそうです。面倒さを我慢して今回ちゃんと測って注文した人たちはそのデータを使って追加注文できるのでしょうか?へたをするとZOZOに対する不信感が一挙に膨れ上がる可能性もあり、ここは思案のしどころだと思います。