“脱下請け”町工場が挑戦する世間の常識と世界市場

グローバル

11月5日(火)のガイアの夜明けは「”不屈の町工場”新たなる挑戦!」。これまで放送してきた、”不屈の町工場”たちの続報特集。下請けから脱却し、逆境の中、長年培った技術を独自の商品開発に活用した彼らの新たな展開を取材し、日本の中小企業のものづくりにかける情熱を教えてくれた。

1社目は三重県にある「錦見鋳造」。下請け鋳物工場として50年。しかしバブル崩壊後、受注が激減。鋳物の技術を生かしながら1.5ミリという薄さの「魔法のフライパン」を開発。鋳物特有の熱伝導率の良さと、遠赤外線効果で食材に熱が伝わりやすく、料理がおいしく作れる。発売以来10万個以上を売り上げる大ヒットにつながり(今や年商2億5千万円、受注残3万個!)、番組放送後には、なんと30ヵ月待ちとなった。問い合わせも積み重なり、待ちきれなくてキャンセルされるケースも。

そこで、商品を待つお客を減らすため、一挙に生産量を引き上げるべく「自動鋳造設備」を開発中の社長。休みの時間もほとんど携わっているが、なんと7年の開発期間を掛けている。わずか3分で1個の魔法のフライパンが出来上がる予定で、そうなれば生産能力は今の3倍になる。完成までにはもう少し時間が掛るようだが、めどは立ったという。セットする金型を変えれば別の製品も作れる応用力もあり、新商品となる調理器具の開発にも挑んでいる。自動化で余裕が出る今の職人の一部は開発部隊化したいと夢は広がる。

2つ目は富山県高岡市のスズ鋳物メーカー、「能作」。創業以来、仏具の下請けを続けてきたが、年々受注は減少。そこで純度100%のスズを使った食器を開発。スズは非常に柔らかいので、ぐにゃぐにゃと好きな形に変えられる特徴が評判になり、今や欧米のレストランで大人気。世界10ケ国に輸出し、売上は下請け時代の6倍にまで伸びた。

前回の放送後、新たな展開があった。スズ加工技術を発展させ、「富士山の形をしたぐい飲み」を開発。これが面白い。全体が精巧な富士山の形をしており、内側にも小さな富士山がある。厚みは1ミリと非常に薄く、鋳物を作る要領で砂型を作る職人技。2つの砂型を合わせた狭い隙間に100%純度のスズを流し込んで作る。微妙な山肌の表現に独特の加工技術が応用されている。1つ4800円と高いが、今や百貨店で自宅用や贈答用に大人気。既に5千個を打っているという。さらに今は桜島など各地の名山を型作った新商品を展開するという。新しい伝統を築きたいという気概が見えた。

3つ目は愛知県の鋳物工場「愛知ドビー」。無水調理鍋「バーミキュラ」を開発。密閉性の高さから、水なしで素材のおいしさを引き出す機能が大評判となり、高い人気を呼び、現在は8ケ月待ちという大ヒット。アメリカでも販売を始めたところまでは前回の放送で観た。

しかし人気の反面、「いきなり焦がした」とか「使いこなせない」といったネットでの書き込みもあり、社内で対策を検討してきた。その結果、社内の一角にある工場内にキッチンスタジオを併設、無水調理鍋の機能を活かした調理方法やレシピを考案した。今ではそのレシピ本を鍋に同封し、ユーザーの満足度を上げている。従業員も増やし(3ケ月で15人採用!)、受注待ちを解消する努力をしている。さらに海外市場開発担当のフランス人まで採用し、今や欧米市場へ躍進しようとしている。

4つ目は栃木県・岩舟町にある「グローバルエナジー」。独自技術で画期的な風車を開発した。独特の形により羽を押し出す空気の流れを作ること、そして折れ曲がった先端の形により空気を逃がさないことで、少ない風で回るという。風が止んでもなかなか失速しない。随分不思議な形だが、確かに普通の風車に比べよく回る。

車のバンパーなどの下請け工場だったが、受注激減。「(仕事を)求めるのではなく仕事は作ればいい」と考えた鈴木社長は独自の羽の形をした風車を開発。しかし開発は苦難の連続で、これまでに試作した羽は約4000枚!「みんなうまくいかないことを失敗だと思っているが、僕はうまくいかないことは発見だと思っている。自分の思いを途中でやめることが失敗だと思っている」という鈴木社長。ようやく完成した風車の評価は高く、2011年には東京都が3基(×450万円)を購入してくれた。その後、国内企業4社が10基以上を購入。

その技術力に韓国の電力関連ベンチャー企業が目をつけ、すでに「グローバルエナジー」の風車を使った風力発電設備が稼働している。この韓国企業は世界中の風車を調査し、「グローバルエナジー」の風車がベストだと評価し(こうした徹底さが韓国企業の強さだ)、韓国での製造・販売ライセンスを約2億5千万円で購入してくれたという。世界市場への第一歩だ。

さらに鈴木社長は、もっと少ない風でも回る大型風車の開発に挑戦中である。羽根だけで7m、重さ120キロと巨大だが、風速1mの微風でも回る(小型の風車では2.5m以上必要!)。世間一般が常識と思い込んでいることが間違っていることを実証しているのである。しかもサイズが倍になると出力は4倍に、風速が倍になると出力は8倍になるという。この製品は風力発電の後進国・ニッポンが世界で注目されるようになる実力を持っているようだ。