高市総理の電撃解散・総選挙の意向を受けて立民―公明の電撃結党という、政界に激震が走った先週。色々と情報を整理すると、それぞれの思惑が見えてきました。これはなかなか面白くなってきました。
1.自民党
後見人である麻生副総裁にさえ相談せずに電撃解散・総選挙の意向を独りで固めたとされる高市総理。その秘密主義や、国会での予算審議前での解散による国民生活への影響などから批判も受けています。
なぜこのタイミングだったのか。自民党議員の大半と政界スズメの多くは「今やったら勝てるから」と、圧倒的な内閣支持率を理由に挙げています。確かにそれも一つの要因でしょう。でもそれなら予算審議を経てから解散しても問題ないはず。
一番大きな要因は、国会の予算委員会の委員長が立民の枝野氏だということだと、私は見ています。総選挙で自民が過半数を得ることで枝野氏を引きずり下ろし、委員長を奪還することが主目的ではないかと思います。
先の国会でもそうでしたが(岡田氏に執拗な質問を許したのが典型)、予算審議の過程で相当恣意的な運営をされ、高市政権としては鼻面を引っ掻き回されることを危惧したのではないかと思います。
挙句、期間内の予算成立のために不本意な妥協を余儀なくされ(しかもこの予算案、基本的には石破政権が作成したもの)、政権の戦略実現に対し「換骨奪胎」されるくらいなら、当面は補正予算と暫定予算で手当てしておいて、自民が過半数を得た次の衆議院で丸ごと本予算案を通してしまおうと考えたのだと思います。
ついでに高市政権に批判的な党内リベラル派(媚中派とも言われる)の振るい落しや封じ込めも狙っているかも知れません。
2.中道改革連合(立民-公明の合流)
立憲民主党は長期低迷傾向にあり、自民が混乱して絶好の機会であった前回総選挙ですらほぼ現状維持でした(比例の政党別投票率では3位に落ちています)。何もしなければ今回の解散・総選挙では埋没かつ惨敗が必至の状況でした。だから体質の近い公明との連携は戦略的に正しい選択です。
でも高市政権の発足前後から「与党批判のみ」や「政策のブレ」をSNSで晒され続け、今まで頼りにしていた30~60代の無党派層からは完全に愛想を尽かされております。残った70代以上の支持層と(かなり本気が怪しい)公明支持者を足しても各選挙区で第一党になるのは難しいところで、立民+公明の既存議席数172人を大きく割り込む可能性大です。仮に惨敗は避けられても、長期低落傾向に歯止めを掛けることはできないでしょう。
しかも公明出身者を新党の比例名簿の上位に据える方針なので、この選挙で「意外な善戦」をしない限り、「もう無理」と議員間に失望が渦巻き、解党に向けて加速する可能性のほうが高いですね。
一方の公明党ですが、高市自民にNOを突きつけ連立を離脱した狙いは不明でしたが(中国からの圧力という噂もあります)、連携相手を立民に切り替えて比例区で生き残っていくというサバイバル戦略は正しいでしょう。支持者の高齢化の中、そうしないと単独での生き残りはあり得ませんから。
かなり揉めるとは思いますが、新党の比例名簿の上位に据えられれば、公明出身者は従来程度には残るかと。でも選挙後には立民出身の議員から「こんな連携はメリットがない」と再び拒否反応が出る可能性が高いので、今回限りの「選挙互助会」に終わるかも。
ちなみに、「なぜ新党は衆議院だけ対象で、参議院や地方議会は立民・公明を残したままにするの?」という疑問をお持ちではないですか。実はこうしないと政党補助金を受け取れないからです。こうした姑息な部分には古だぬき達の知恵は回るのですね。
3.国民民主党
与党にも加わらず、野党連合の話も拒否し、居心地のよい「ゆ党」のままで「責任は取らず、成果はアピール」といういいとこ取りを今後とも狙っていく気満々ですが、今回の総選挙では埋没する恐れも大です。
そもそも最近の選挙で躍進できたのは、自民党の保守支持派が、岸田-石破と続いた中途半端なリベラル政権に愛想を尽かして一時的に国民等に乗り換えた「漁夫の利」のおかげです。高市政権発足でそうした支持者が自民に戻れば、自ずと国民への投票は大幅に減ります。
党首・玉木氏の発信力と幹事長・榛葉氏の統率力でここまで来ましたが、あまりに短期決戦ゆえか選挙公約は「急ごしらえさ」が丸見えです(「もっと手取りを増やす」として細かいものを挙げていますが、中身は相変わらず財源無視)。少々やばいですよ。でも立民支持者の一部が流れ込む可能性も残っています。
4.日本維新の会
政権与党になったはいいけど(「議員定数削減」という誰も関心のない政策目標を振り回すだけで)何の成果も生み出せていない同党。今回の総選挙では「府知事・市長のダブル辞任・選挙」と三度目の「大阪都構想」を掲げて、関西の地盤を固めることに必死です。後者は地元・大阪で既に2度も拒否されており、さすがに「もう結構」と呆れられています。しかも同党議員の問題が続出しており、ガバナンスに大きな疑問符も付いています。
自民との選挙協力はしないと言っていますが、もう全国に候補者を立てる体力も党勢もないでしょう。身の丈に合わせて地方政党に回帰するのであれば自民との連携も長続きするので、これもアリかも知れません。
5.参政党
今回の総選挙で一番注目される勢力です。本来なら高市政権と指向性がかなりバッティングするため、これまでの党勢拡大傾向が萎んでしまうと危惧されるはずですが、神谷代表は意外と意気盛んです。むしろ「自民党議員で反高市の人の選挙区に対抗馬を立てる」「今後も方針が合致する政策については高市政権に協力する」と、日本維新の会よりも与党っぽいのです。
現実的に同党の支持者は(国民と違って)若い世代が随分と多く、SNSでの神谷代表の演説などに共感しているようです(「意外と」と言っては失礼かもしれませんが、まともな内容ですよ)。彼らは元々自民支持者ではないので、高市さんが総裁になったからといって自民に鞍替えする訳ではないのでしょう。まだこの党は伸びるかも知れませんね。
