高市政権の成長戦略の方向性が見えた

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昨日(4日)、政府が「日本成長戦略本部」の初会合を開き、来夏に新たな(かつ具体的な)成長戦略を策定することを決めました。

その際に高市政権が打ち出した成長戦略の基本方針は、従来の自民党政権下での政策決定プロセスから大きく脱却し、日本の未来を左右する「真の戦略」に明確に舵を切る強い意志を示しています。

具体的に17の戦略分野を定め、限られた国家リソースを最大限に活かす「メリハリの利いた方向性」が明確になったことは、日本の停滞を打破し、新たな成長軌道に乗せる大きな期待を持たせます。


🎯 従来の「バランス志向」との決別:戦略的な集中へ

これまでの自公政権における「戦略」は、その言葉とは裏腹に(つまり非戦略的に)強い「バランス志向」と「規模感ありき」の性格が色濃く出ていました。

従来の成長戦略が抱えていた課題

  1. 「バランス志向」の弊害: 各省庁の要望を広く受け入れ、特定の分野に資源を集中させることを避け、結果として「乏しきを皆で分かつ」の美名の下に政策効果が薄まる傾向がありました。特定の地域や団体に配慮するあまり、本当に国の成長に資する「選択と集中」が疎かになりがちだったのです。
  1. 「規模感ありき」の慣性: 予算化のプロセスにおいて、各省庁が元々考えていた、ごく当たり前のルーティン的な案件や、既に継続している事業が予算の「規模」を維持するために優先されやすく、真に革新的でリスクや異論を伴うフロンティア分野への思い切った投資がなされにくい構造がありました。
  1. 「バラマキ」の常態化: 近年、特に新興野党が台頭する過程で、政府・与党が「大多数の国民受け」だけを考慮した、短期的な効果や票田に繋がる政策、すなわち「バラマキ」色の強い政策に傾斜しがちでした。これは、本当に切実な領域や、将来的な成長に資する分野への集中投資を妨げる主要因となっていました。短期間で成果が見えにくい、しかし長期的な成長の鍵となる基盤技術や人材育成等への投資が後回しにされてきたのです。

高市政権の成長戦略のユニークさ

今回の高市政権の方針は、こうした慣性や弊害を明確に断ち切るものです。

  • 17の戦略分野という「絞り込み」: これは、広範な要望を漫然と受け入れるのではなく、資源を投じるべき場所を明確に定めたことを意味します。このメリハリこそ真の「戦略」であり、限定された予算と人材を最大限に活用するための集中投資の基本が押さえられています。
  • 未来志向の「先行投資」: 選ばれた分野が、短期的な票獲得狙いではなく、日本の中長期的な成長の鍵となる産業や技術に焦点を当てている点も重要です。これにより、政策が未来への布石としての性格を強め、「戦略方針」としての正当性を確立しています。


💡 日本の成長を牽引する期待の分野への投資

戦略分野として挙げられた17の分野は、まさに「日本の成長をけん引する」という高い期待を抱かせるものです。デジタル、グリーン、バイオ、宇宙など、世界の潮流の中で日本が優位性を確立できる、あるいは巻き返しを図るべきフロンティア領域が含まれていると理解できます。

💰 「責任ある積極財政」の意義

こうした戦略分野への投資は、単なる財政出動とは一線を画します。それは、硬直した財政規律に縛られずに思い切った政府の先行投資を行うべき領域です。

  • 民間投資の誘引効果: 政府が初期段階のリスクを取って基盤整備や研究開発に先行投資することで、民間企業にとっての不確実性が低下します。これにより、民間資金が安心して参入できる環境が整い、投資の連鎖を生み出すことが期待できます。これは、政府投資が民間の投資を誘引するという、成長戦略における最も重要なメカニズムです。
  • 将来の税収増への貢献: 現在の投資は、将来的に高成長産業を生み出し、雇用を創出し、賃金を向上させます。その結果、税収の自然増という形で財政へのリターンが期待でき、中長期的な財政健全化にも繋がるという狙いがあります。

この意味で、今回の集中投資は、単年度の財政規律を優先して成長の機会を逃すのではなく、「責任ある積極財政」により未来の成長力を下支えする戦略的意図が極めて明確と言えるでしょう。

(なぜこれまでの自公連立政権ではできなかったのかという素朴な疑問は残りますが)こうした高市政権の成長戦略は、「戦略なきバラマキ」から「未来志向の集中投資」へと政策の大きな質的な転換を図るものであり、これが日本の新たな成長の扉を開く鍵となることを強く期待したいものです。