酷暑下の「ディール」

ブロググローバル

我々は戦後80年の夏を体温超えの酷暑で迎えています。ご自愛ください。

日本製鉄のUSスチール買収が逆転決着したのが6月終盤。参院選での与党惨敗直後に、袋小路に入り込んでいたはずの日米関税交渉が急遽決着。このところ立て続けに大きな「ディール」が成立しました。

日鉄のUSS買収のほうは「日本企業でも腹を据えれば立派に交渉できる」と多くのビジネスパーソンを勇気づけたと思います。それに対し国が前面に立った日米関税交渉のほうは、何とも腹落ちしません。

ビーンボールまがいの高税率25%を課されていたせいで「15%に落ち着いてよかった」という意見が多いですが、完全に米国側にしてやられた感があります(米国債売却など日本独自のカードが幾つもあったのに…)。しかも結局、韓国などと一緒とは。

ましてや、「日本が5,500億ドル規模の対米投資を行い、利益の9割を米国が得る」というトランプの発言の意味はいまだ不透明です。「投資」という用語の意味すら日米で解釈が違います。そもそも共同文書を作成しないなど、危なくて仕方ありません。

何せ相手は稀代の詐欺師・トランプ(不動産業)とベッセント(金融業)、こちらは真面目一徹の赤沢氏(元国交省官僚)ですから不安で…。

【続報】その後に発表された大統領令では日米間の合意事項がまったく反映されておらず、EUだけが関税15%へ抑制されることになっていることが判明し、日本中が大騒ぎになりました。日本国内では「合意文書を作成しないもんだからこうなる」という至極当然の指摘が各所から出てきました。

交渉当事者である赤沢氏が急遽再訪米し(いったい何度目でしょうかね)、日米政府間で合意した事項に認識の違いがないことを確認したそうです。石破政権とするとほっと一息といったところですかね。

私はこの空騒ぎの騒動は「米国政府の(単純な)連絡ミス」だと睨んでいます。日本政府からしたら信じられないでしょうが、今のトランプ第二次政権の現状は素人の寄せ集めが各機関のトップ層を占め、しかも(辞任や指名遅れによる)空席も目立つので、省庁間の事務的連絡が伝わらないという「発展途上国並み」の状態だからです。