瀬戸際にある日本のコロナ対策

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遂に東京五輪の延期が決まってしまいました。確かに世界各国、特に欧州の主要先進国が感染爆発への対応に追われており、選手派遣できない状況になるのは目に見えていましたから、他に選択肢はなかったということでしょう。中止よりはずっとましです。

それにしてもこの新型コロナウイルス、なんと「戦略性」に富む厄介な性質でしょう。多くの感染者は軽症にとどまるため、自覚症状のないまま、もしくは発症しないままで他人にうつすケースが見られるということです。感染方法も通常の1)接触、2)(しぶきによる)飛沫だけでなく、3)(空気中を漂う)マイクロ飛沫が疑われています(だから「密閉空間を避けて」となるのですね)。数次感染しやすいように奴らも「進化」したのでしょう。しかも、4)一旦治ったと見せかけて再発症するケースすら報告されています。

ここで一つ、素朴な疑問が生まれます。中国人旅行客の流入量でいえば韓国やイタリア以上であったはずの日本で、欧米ほど感染が拡がっていないのは何故か、です。

以前に指摘したように、他国と違い日本ではウイルス検査を片っ端から実施しておらず(これにはある理由があり、いずれ自ブログで解説したいと思います。悔しいですが韓国とは雲泥の差です)、感染者数自体は実勢より数割は少ないでしょう。でも死亡者数はごまかせません。その比較から見ても、明らかに欧米・中韓より(今のところ)感染拡大が抑制されていると考えられます。

可能性として考えられるのは、1)風習として握手・ハグをしない、2)互いのマスク着用をそれほど嫌がらない、3)欧米よりこのウイルスに対し早くから警戒していたので自主的に人混みを避けるのが早かった、4)行政などの呼び掛けに対し学校休校やイベント自粛がいち早く拡がった、といった辺りです。4)に関しては教会などの継続的で密接な集会が日本では元々かなり限られているのも事実です。

多分、これらがそれなりに効果を発揮して、結果として日本での感染拡大のペースは(中韓はもとより)欧米よりも抑制された、ということでしょう。でもだからといって日本が感染をコントロールできているのかというと全くそうではなく、むしろ逆です。

一般市民に対するウイルス検査をしていない日本では、クラスター(感染者集団)の発生を十分把握できていません。したがって未発見のクラスターから既に感染しながらも軽症なために無自覚なままの人々が「野放し」状態になっている可能性が高いのです。本来なら「クラスター把握→感染者隔離&トレース→接触者把握・検査」が効果的な封じ込め対策ですが、それができないのです。今までオーバーシュート(感染爆発)が日本で起きていないのはただの幸運に過ぎないのです。

むしろ感染者数の増大はこれからが本番と覚悟すべきであり、特に首都圏はまさにオーバーシュートの瀬戸際にあるという小池都知事の認識はまったく正しいでしょう。都は特借法に基づく緊急事態宣言の検討も政府に求めているようです。しかもこの状況はすぐに好転する訳ではなく、少なくともあと数週間は厳戒体制を、そして多分2ケ月程度は警戒モードを継続すべきとなると考えられます。

我々の忍耐が試されています。