旅館での米飯の出し方は客のニーズを踏まえていない⁉

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私は出張時には可能ならば温泉旅館に泊まろうとします。目的の訪問先に多少遠くても、その地にいい温泉旅館があれば(訪問先近くのホテルより)旅館のほうを選びます。

要は温泉好きだからです。だから1泊でも3回くらいは温泉に入ります(到着直後、食事後~就床前の間、翌朝一番)。仕事でなく観光で同じ旅館に2泊する際には、3日で7回程度は入ります。コロナ過の最中ではどの旅館も空いていたので実にゆったりできました。

旅館での食事も楽しみです。昔は全国どこも似たような定番料理が多かったのですが、近頃は地元の産物を前面に出した、独自の料理でアピールする宿が増えて、とてもよくなりましたね。だから「素泊まり」などというのは他に選択のない最悪の場合でしかあり得ません。

そんな温泉旅館好きな私ですが、多くの旅館で未だにやっていることで、一つだけ気に入らないことがあります。それは夕食において、米飯と漬物そしてお味噌汁のいわゆる「3点セット」が料理の最後にならないと出てこないことです。

私はアルコール類を好みますので、それまでの料理はつまみ的においしくいただきますが、メイン料理の際には一緒にこの3点セットを出せばおいしくご飯をいただけるのに、といつも不満です。

そして、メイン料理の後に時間が空いてから出される、3点セットの茶碗一杯のご飯を漬物と一緒に食べるのは、どうも貧乏っぽくて嫌です(あれ、好きな人はいるのでしょうか?)。

特に焼肉系料理の場合、「ご飯と一緒に食べると脳が感じる幸福度が上がる」という事が脳科学的に証明されているのに、そうした方面の研究はされていないのでしょうかね。

なぜメイン料理の際に3点セットを出さないのかの理由として思い当たるのは、高級料亭の真似ですね。そうしたところでは特にリクエストしないと、やはり同様のパターンのようです(そんなに高級料亭をしょっちゅう使っていないので聞きかじりですが)。

でも高級料亭はそもそもアルコール類が付き物で、メイン料理までゆっくりと流れ、それまでお酒やビールを飲んでいる人が多数派です。だから最後に口直し的に3点セットをいただく、というのもそれなりに理にかなっています。料亭としては、メイン料理と一緒にご飯を掻っ込む様はあまり上品と感じないのかも知れませんしね。

しかし旅館での夕食はそこまでゆっくりとした流れではなく、こちらが食べるペースに合わせてはくれますが、メイン料理までどんどん料理が運ばれてきます(昨今は従業員の方々も早く帰宅したいというのもあるかも知れません)。だから逆に、メイン料理が運ばれてから、次に3点セットが運ばれてくるまでの間が妙に空くのが不自然かつ不合理なのです。

もちろん、酒類を頼まないテーブルには早めに3点セットを出してくれるケースも結構あるようではありますが、同じテーブルで誰か一人でもアルコール類を飲んでいると、なかなか3点セットが運ばれてこない傾向がある、というのはなかなかに観察眼の鋭い我が娘の意見です(ちなみに私とカミさんはアルコール類を飲み、娘は飲みません)。

だから旅館には高級料亭の真似はせずに、メイン料理と一緒がいいのか、その後がいいのか、客に尋ねて欲しいと思います。確かにオペレーションが(全客に一律でなくなるため)少しだけ複雑になりはしますが、顧客満足度は相当上がるはずです。

それに、こうした高級料亭もどきの米飯の出し方ですと、当然ながら米飯の消費量は上がりません(逆に言うと、旅館側はアルコール類の消費を進ませたい思惑もあるのかも知れません)。これはコメ農家を支える農協などの団体にとっては盲点かも知れません。

ということは、農家も農業団体も(意外とホテルばかり利用していて)あまり旅館を利用していないのかも知れませんね。それは世の中のニーズや他地域の工夫を体感する活動をしていないことなので、決して望ましいことではありません。 もしお知り合いに農家や農業団体の職員の方がいらっしゃったら、「旅館での米飯の出し方、どう思う?」って是非尋ねてみてください。