掃除ロボット戦争、第二幕のガチンコ勝負へ

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サイクロン式掃除機で有名な英ダイソンが9月4日、ロボット掃除機への参入を発表しました。来春、サイクロン式ロボット掃除機「ダイソン360Eye」を、世界に先駆けて日本で発売するということです。

東京で開催された発表会には創業者のジェームズ・ダイソン氏が登場し、日本の消費者へ「ダイソン360Eye」の魅力を自ら訴えました。この様子は多くのニュース番組でも取り上げられていました。9月からは日本でモニターを募集。日本の家庭環境下で使用してもらい、これを発売する製品に反映するとのことで、同社の力の入れ具合が窺えます。

価格は未定としていますが、競合になると予想される米アイロボットの最上位機種「ルンバ880」(14年3月発売)が現在の市場では7万円前後で販売されているところから、「ダイソン360Eye」は10万円程度になると見られています。

ちなみに「ダイソン360Eye」は、直径約24.2センチメートル、高さ約12センチメートルの円形で、重さが約2.4キログラム。「ルンバ880」が直径35.3センチメートル、高さ9.2センチメートル、重さ約3.8キログラムですから、やや小ぶりだが高い(分厚い)印象です。これだとラックの足が低い(つまりラックの底と床の間があまりない)場合、潜り込めないので掃除されない、ということになります。日本の住居環境では微妙な不利点ですが、ダイソンお得意の吸引力を確保するためにはこの分厚さが必要だったのでしょうね。

その高い吸引力こそが同製品の特徴です。発表会でも「ダイソン360Eye」と競合他社の製品を並べ、レーンに置かれた5グラムの重曹をどれが一番良く吸い取るかのデモンストレーションを行い、ダイソンの吸引力の高さを強調していました。「ダイソン360Eye」は、高効率のモーターを使用することでバッテリーの持ちと高い吸引力を同時に実現することができたといいます。

同社によると、他社のロボット掃除機は、バッテリーの消費を抑えるために低出力のモーターを使用。出力が低くなると、吸引力もそれに伴って落ちてしまうとのことです。彼らに言わせると、「従来(他社)のロボット掃除機は、掃除機としての機能を全く考慮していない」とケチョンケチョンです。

同製品の特徴は吸引力だけではありません。本体上部には360度見渡せるカメラが付いており、ロボット掃除機自身が今どこにいるのか製品を回転させることなく把握し、マッピングをするのです(東芝の最新機も同様の機能を保有します)。自分の位置を常に把握しながら部屋を規則正しく移動(ある位置から四角い形を段々広げていました)。一度掃除したところを何度も掃除をするといったような無駄な動きはしないのです。確かに賢いですね。

発売までにさらなる改良を視野に入れているそうですが、現在の所、約120分の充電で約20~30分稼働可能としています。部屋の状態やモードによって異なりますが、「ルンバ880」は約180分の充電で最大90分の稼働が可能だそうです。つまりゆっくりそこらじゅう(しかも多少重複して)掃除するルンバに対し、大力量・効率移動で一気に掃除するダイソンといった違いですかね。

市場には、シャープ(おしゃべり機能やネット遠隔操作機能付き)や東芝(回転ブラシ付き、本体のゴミの自動吸い取り機能など)といった日本勢もユニークな機能を発揮しているのですが、現実にはルンバ一人勝ちの状況です。そこに強力ライバルが現れ、2強のガチンコ勝負になる可能性が高そうです。小生、個人的にはシャープのコミュニケーション型が一番ユニークで面白いと思っていますが、自宅はフロアリングでないので、ロボット掃除機は使えません。残念。