太陽光発電の固定買い取り制度について

ビジネスモデル

最近、日経ビジネスにて澤上篤人氏(さわかみ投信会長)が発言されているのを読み、全くその通りだと思った。
氏は日本のエネルギー政策に一貫性や戦略性がないことを嘆いている。

日本政府はずっと原発一本やりの一本足打法できて、再生可能エネルギーに対し開発にブレーキを掛けるようなことばかりしてきた(経産省も原子力村の主役だから、当然といえば当然の行動である)。日本が世界をリードしていた太陽電池(PV)導入に投じていたわずかの補助金も、2006年という、いよいよこれからのタイミングで廃止してしまう。それで日本メーカーの天下は一挙に崩れ、ドイツ・米国・中国の後塵を拝することを余儀なくされた。そして今度は「泡を食ったように」固定買い取り制度を導入したが、経済合理性を逸脱した価格設定により、安いだけの中国メーカーを利するだけに終わりそうな制度設計をしていると嘆いているのである。

ドイツやスペインのPV買い取り制度の失敗は、あまりに甘い価格設定が当初の普及を加速したまではいいが、財政的に持たずに買い取り価格を急低下させて自国のメーカーを破綻に追いやることに力を貸してしまった上に、低い変換効率でありながらも単純に大量生産で低価格で市場を席巻しようとする中国メーカーに市場席巻を許したことである。今、日本はその轍を踏もうとしているというのである。

ここからの澤上氏の主張は傾聴に値する。「例えば」に続き、「一定以上の変換効率を持つ太陽電池を買い取りの対象とし、毎年その(条件となる変換効率)水準を引き上げていくのだ」と提言している。確かにこのような制度であれば、メーカー間の技術開発競争は確実に促進される。そして日本メーカーの得意な、変換効率の高い素材開発との組み合わせという技術開発領域の勝負に土俵を持っていくことができるという主張なのだ。こうして自国市場で弾みをつけた日本メーカーが、世界市場をリードできるシナリオにつながるとする。

自国の市場を一種の社会実験台として提供するのであるから、そこには日本の消費者だけでなく日本で税金を払ってくれる供給者にとっての戦略的意味がなくては政策としての価値は低かろう。まさにこの策こそ、消費者もメーカーも納得できる道筋であると小生は同意する。