営業改革を考える (8) 評価者の考え方が変わらねば営業は変わらない

BPM

改革実施の初期段階では、現場の営業マンは上司の言動を観察している。本気で評価のやり方を変えるつもりがあるのだろうか、と。

営業改革を考える (7) 営業研修に思想は根付いているか~ の続き

以前の話である。その昔仕事をした地方企業を久し振りに訪問する機会があった。

彼らが取り組んでいる最中の営業改革に話題が及ぶと、プロジェクトで一緒に苦労した役員(当時はヒラ社員だったが)が愚痴をこぼした。「営業プロセスも変えた。営業研修の中身もそれに合わせて変えた。営業マンの評価の基準も、結果重視からプロセス重視に変えた。それでも結局、営業の連中の行動は以前と大して変わらない。何故でしょう?」と。

この人の性格からして、冗談を言ってこちらを困らせようとしているわけでもなさそうだ。正直、小生がコンサルしたわけではないので事情が分からず、戸惑ってしまった。

よくよく訊いてみると、地元のコンサル会社に手伝ってもらって、しっかりした営業改革をデザインした。実施局面に入って、既に数カ月経っている。しかし個人的に親しい営業マン達に話を聞くと、現場ではほとんど何の変化もない、とのことらしい。

小生はこのコンサル会社の評価はよく知らないが、特に手落ちがないように最初は思えた。

しかし試行もなしにいきなり実施フェーズに突入したところが気になり、「もしかして営業マンに対する評価の方式を変えただけで、上司に対する評価者研修やその後の実施支援などのフォローをしていないのでは?」と尋ねた。

すると、評価者研修はまとめて一度集合研修をしたそうだが、その場には立ち会わなかったので徹底度は確認できていない、現場での実施支援というのは特にない、という答だった。

残念ながら「営業改革」という仏を造ったのに、「魂」が入らないままのようだ。

「結果(端的にいえば売上)重視からプロセス重視(売上を上げるために適切な手を打ったかを問う)への変革」という方向性は多分、営業マンも上司も理解していたと思うが、営業マンは会社の本気度については疑っていたのではないか。

上司諸君はそんな営業マンの様子見の態度を見て、「変革の方向」に対する納得が得られていないと思い、本当に変えていいものか迷ってしまっているのではないか。

現場に入り込んで確認しないと本当のところは分からないが、いわゆる「ニワトリと卵」の状態になってしまっている可能性が高い。件(くだん)の役員にはそうお伝えした。

営業現場にとって抜本的な改革であればあるほど、改革実施の初期局面では個々の営業マンは様子見の態度を示しがちである。そして会社、特に評価者である上司の本気度を測る。それは上司の指導時のコメントや自分や周りに対する評価などを通して観察され、判断される。

要は、いくら建前では「売上額ではなくプロセスを重視せよ」と言っていても、プロセス的な観点で指導することなく、「で、結局いつになったら売れるんだ」という突っ込みばかり上司が繰り返すようだと、部下の営業マンは「やっぱり評価の基準は変わっていないんだ」と考える。

だからこそ上司が率先して新しいプロセスと基準に対応した指導・評価方式に切り替え、日常の中で適切に指導することが改革には不可欠であり、それを実行することが改革の浸透に効果的なのである。

したがって営業マンに対する変革サポートだけでなく、同時に上司に対する(指導法、評価方法の)教育研修、および相談窓口やコミュニケーションといった変革サポートも欠かせない。そしてこれらがちゃんと回っているのかをモニタリングすることが不可欠だ(小生の提唱するBPMの要諦だ)。

こうしたことが経験の浅い人たちにはあまり意識されておらず、意外と後回しにされていたり忘れられたりしているのではないか。営業改革に限るわけではないが、改革を支援する経営コンサルタントは肝に銘ずべき事柄である。

(本稿は2013年4月のコラム記事に加筆修正したものです)