「原発にドローンの脅威」の真の意味

ブロググローバル

11月18日(火)のクローズアップ現代『原発にドローンの脅威!? 見えてきた“空の死角”』をご覧になりましたか。この7月26日、九州最大の玄海原発の上空に現れた謎の光は、ドローンの侵入の疑いが濃いものでした。

原発の警備体制では記録さえできなかったため特定されておらず、地元警察は「航空機と見間違ったもの」と火消しに努めていますが、目撃された光の動きからは「そんなはずあるかい!」というのが素朴な感想です。

場所柄から言っても、まず中国の仕業と判断して間違いないでしょう。日本の原発施設がドローンの侵入に対しどんな反応をするのか、その対策具合を調べようとしたと考えるのが妥当です。

専門家が指摘・警告するように、「ただちに原子炉の安全に影響はないが“空の死角”が露呈した」という事態です。日本の電力会社が空からの侵入に対しあまりに無防備な「お花畑」状態だということが中国政府にバレてしまったということです。

彼らは多分、この後しばらく他の原発施設にも同様の偵察を入れて、「どこの施設が最もノー天気か」を探るでしょう。そして次は爆弾を抱かせたドローンを飛ばして、爆撃のシミュレーションまでエスカレートしていくでしょうね。

なんでそんな怖い想定をしているか?世界では既に重要施設へのドローンの侵入が頻発しているのです。

お隣・韓国では北朝鮮からとみられるドローンが、欧州ではロシアからの疑いが強いドローンが、それぞれ何度も侵入しているのが発見されています。日本だって、2024年3月、横須賀基地に侵入したドローンで撮影した日本の護衛艦とみられる映像が動画サイトに投稿されています(これは中国軍の威嚇なのか、中国人技術者のいたずらなのかは分かりませんが、結構な技術的ハードルを越えているようです)。

いずれも現時点では偵察機ですが、ウクライナ戦争で明らかなように、大量のドローンを一斉に重要施設への攻撃に使うやり方は非常に有効な戦術であることが既に判明しています(戦時中で警戒している両国ですら完全には防御できず、ましてや平時の我々では・・・)。

では日本の原発などの重要施設に狙いを付けている中国の意図は何か。これは台湾有事の際の展開作戦の一環ではないかと私には思えます。

どういうことか。

中国が台湾に武力侵攻した場合、在日米国軍がすぐに介在してその動きを邪魔しようとします。その際、中国軍が最も恐れるのが、自衛隊が米軍と連動して中国軍に立ち向かってくることです(それが嫌なので現在、「高市発言」に神経質に騒ぎ立てているのです)。

自衛隊にそうした動きをさせないために何ができるか?中国軍の発想からしたら、「直前に日本の原発などの重要施設を幾つかドローン群で攻撃し、『すわ、原発事故?』と大騒ぎさせればいい」と考えるでしょうね。原発アレルギーの日本政府ならきっと自衛隊を全面出動させて被害を食い止めようと躍起になるだろうと。

その隙に台湾に電撃侵攻すれば、中国軍に立ち向かってくるのは在日米軍だけになるので御しやすい、少なくとも規模および機動性においては今の中国軍のほうが上回るため、タイミングや情勢によっては在日米軍が自制する、という読みがあるでしょう。

「原発への攻撃」という単発シナリオでは、中国にとって大したメリットがなくて国際的な非難だけ受けるので、その手はあり得ません。でも台湾有事と絡めたら、一挙に現実的な戦術選択肢となります。

今は中国の意図をしっかりと読んで防御態勢を固めるべき時です。