最近のプロジェクトで出くわした「紺屋の白袴」の数々。知れば知るほど「他人に言う割には自分のことは…」と笑ってしまいます。
まずはIT企業。AIプログラミング活用事例を展示会とセミナーでは熱弁しつつ、実は自社の基幹事業では「まだ時期尚早では?」と尻込みを続けています。その結果、社内では「人が足りない!」との大合唱がこだまするのですが、顧客からは「料金が高い!」と嫌味を言われています。AI活用こそ妙薬なのに、自らに処方するのはどうも苦手らしいですね。
次にマーケティング支援企業。新規開拓にはアレ、クロスセルにはコレと、最新のデジタルソリューションを掲げていますが、実は自らの実践では苦戦中。高額なMAやSFAを導入して「デジタル営業奮闘中!」と胸を張る一方で、現場ではExcelファイルが乱舞して二重管理の真っただ中。いやはや「宝の持ち腐れ」の見本市です。
人材支援企業も負けてはいません。最先端の人事評価システムを売りにしていると思いきや、社内の人事評価は「実力者に気に入られた者勝ち」という昭和スタイル。「人と組織の成長を支援します!」と謳いながら、社員からは「属人的」「評価がブラックボックス」と低評価。これでは「灯台下暗し」というより「暗黒下暗し」です。
そして最後は金融会社。フィンテック!デジタル革命!と勇ましく宣伝していますが、実際の資金繰りは昔ながらの手数料収入と銀行融資頼み。最新のアプリ画面でカッコよく見せても、裏側の基幹システムとそれとの連携は協力会社からの派遣SEの人海戦術が支えています。「フィンテックの皮をかぶった従来金融」とは、なかなかの演出です。
こうした様子を眺めると、紺屋の白袴は今も健在。いや、むしろある意味複雑に深刻化しているのかも知れません。技術も仕組みも道具も揃っているのに、いざ自分ごとになると「まあ、そのうち」と腰が重い。だからこそ舞台裏には悲喜劇が溢れています。
「まず自分でやってみる」が一番の説得力なのは間違いありません。とはいえ、そこが一番難しいのもまた現実なのでしょう。