ラップ口座には本当に価値があるのか

ビジネスモデル

大手証券会社がラップ口座の普及に注力中だそうです。15日のWBSでも取り上げていましたが、残高が急拡大しているのですね。
http://www.tv-tokyo.co.jp/mv/wbs/newsl/post_91855

ラップ口座とは証券会社などに資産を預け、その運用を一任する「お任せ口座」のことです。元々は投資額が数千万円以上の富裕層を狙ったサービスでしたが、ここ数年、野村や大和などの大手証券会社が運用先を投資信託に絞って最低額を300万円や500万円に引き下げたファンドラップという商品を投入した結果、市場規模が急拡大し(つまり預け入れる人が急増し)、業界全体の残高は約3兆9,000億円(前年比2.8倍!)になっているとのことです。

相場がいい今だから人気になっていますが、相場が下がる局面では「ラップ口座なのに」という不満が噴出するでしょう。番組でも指摘していますが、投資初心者の場合、いつまで経っても投資がうまくならないでしょう。

そして手数料を超えるリターンを得ることは簡単ではないものです。投資信託で同じことが実証されています。「投資信託では随分損をした。だからプロに任せるラップ口座だと安心」というコメントをしていた定年退職金を預けた人がいましたが、酷かも知れませんが、アホだと思えます。

運用は金融機関にお任せで、年間の手数料などは年1.7%ほどですが、その費用に見合う運用能力が日本の大手証券にあるとはとても思えないからです(大半の中小証券にはもっとありませんが)。

小生は日本の大手証券(つまりサラリーマン)による運用能力をかなり疑問視しています。小生には大手証券会社に勤めてきた友人が随分いますが、役員を含みかなりの人が株式投資そして投資信託で大損しています。損していないのは、全く投資していない人だけです。

ラップ口座に注力する証券会社の事情と戦略はよく分かります。従来のような手数料稼ぎ狙いで売買回転を上げる方向ではお客のためになりません。それよりはラップ口座のように顧客の資産残高を増やすことでWIN-WINの方向に向かう可能性があるので、正しい戦略です。

でも小生個人的にはラップ口座は使いません。本当に気に入った個別の会社の株式に長期投資するほうが割安で着実だからです。