ソニーは再びAIBOを造ってくれるのか

ビジネスモデル

ソニーが家庭用ロボット事業に再参入するとのニュースを目にした。小生はずっとそうすべきだと公言してきただけに、事実なら本当に喜ばしい。長年の迷走の挙句ではあるが、正しい道に戻ろうとしている動きの一環だと信じたい。
http://news.livedoor.com/article/detail/11719904/

周知のように、同社は犬型ロボット「AIBO(アイボ)」を90年代に発売し、世界の先進国市場において家庭用ロボット市場を開拓し、一世を風靡した。しかし、テレビなどのエレクトロニクス事業全般での業績悪化を受けて、2006年に根強いファンの悲痛な叫びを無視してロボット事業から撤退した。問題事業は他に一杯あったが、むしろ将来性の高い同事業がリストラされてしまったのだ。

当時、日本ユニシスに在籍していた小生には少々苦い思い出がある。ある企業との協業をソニーのAIBO事業の担当者に持ち掛けたのだ。強者連合で互いにとってメリットが大きい組み合わせだったが、その担当者は「やりたいのは山々ですが…」となかなか踏み切らない。あげくに事業撤退の連絡だった。その人も辛かったのだと理解した。

そのリストラ後も、経営判断ミスと、アップルやサムソンなどの躍進に相呼応して(そして同社の名誉のために付け加えると超円高もあり)同社の業績悪化は続き、世界の家電メーカートップのポジションから滑り落ちてもう10年近く経ってしまった。やはり出井伸之氏、ハワード・ストリンガー氏と、二代も凡庸な(または不出来な)CEOが続いたことは同社にとって非常に大きな痛手だったと言わざるを得ない。

この辺りのいきさつを語る文を最近目にした。AIBOの開発責任者、土井利忠の述懐である。直截な文章で、背景に潜むやるせない思いも伝わってくる。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/interview/16/031800001/?rt=nocnt

この文が日経ビジネスにまとまって載せられた今年、同社が復活ののろしとしてロボット事業再参入をぶちあげるのは意味深だ。何か、同社の幹部たちが「俺たちはようやく出井さんの呪縛を解けるところまで来たんだ」と叫んでいるように思える。その心意気を応援したい。