何となく日本にいい風が吹き始めた感触の矢先、米軍とイスラエル軍が協同してイランを攻撃し、ハメネイ師をはじめとする政権の主要幹部を殺害しました。
それに対しイラン軍はホルムズ海峡を封鎖し、原油市場が暴騰し始めています。当然、日本経済にも大きな影響が出そうです。
米・イ軍の電撃的な攻撃は米・イランの協議の真っ最中に行われたので、そもそも協議は時間稼ぎのためのものだった可能性が高いです。やっぱりトランプ氏は世界を安心させてはくれないようです。
それにしてもなぜ「今」だったのでしょう。
秋の米中間選挙を前に、目玉政策のトランプ関税が否決されて代替策が有期限にならざるを得ない上に、エプスタイン事件の波紋が広がる中、トランプ政権としては「外国への軍事行動」によって国内問題から選挙民の目を逸らしたかったのではと勘繰りたくなります(というか、私はほぼ確信しています)。
ではトランプ氏自身または政権幹部には、この先の展開に向けてビジョンや戦略的シナリオを描けているのでしょうか。私にはそうは思えません。
空爆だけでイランの体制転換は不可能です。かといって地上部隊の投入はないとトランプ氏もヘグゼス長官も明言しています(実行したら米国民から総スカンを食います)。
イラン内部の武装勢力によるクーデターも期待できず、ましてや市民の武装蜂起はあり得ません。するとイランの既存政権の中から新リーダー体制を待つしかありません。
それがハメネイ体制よりましになる保証はなく、「USA憎し」の感情が高まる政権内で親米的な人物がトップになる可能性はあり得ません。つまり、よくて「以前と同じの米国嫌い」、悪ければ「反米の塊」のような人物がトップに立つ可能性が最も高いのです。
いったいトランプ政権は何をしたかったのでしょう。
少なくともネタニエフ氏は、イランの核装備を当面(多分、10年ほどは)遅らせることに成功しそうなので満足でしょう。
でも米国は(あれだけの大規模な軍事作戦を展開したにしては)大したメリットを得そうにはありません。つまりトランプ氏には「中長期的、戦略的な意味合い」を深く考える能力はなく、今なら派手に勝てるという目先の結果しか見えていないのではないかと思われます。
そしてそんなトランプ氏を諫めることができる人物が第二次トランプ政権には皆無だということが明白なのです。
いずれにせよこの先しばらくは中東情勢から目が離せなくなりますね。
