「行動観察」は基本中の基本

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NHKの8月6日(火)放送、『行動ウオッチャーズ』という番組を観た。「ふだん何気なく行っている私たちの無意識の行動。そこに本音が隠れている。人々の日常の何気ない行動をじっくり観察(ウオッチ)することで、言葉にならない人の本音に気づき、その気づきから従来の既成概念にとらわれない、意外で奇抜なアイデアで変化を起こす」というのが番組の触れ込みである。今回紹介された手口はマーケティング現場で使われる、実にオーソドックスなものである。

スタジオでのコメンテータは全く畑の異なる、前田知洋(クロースアップマジシャン)、内澤旬子(文筆家・イラストレーター)、山崎バニラ(活動写真の弁士)の3人。解説者は大阪ガスの行動観察研究所所長・松波晴人氏。舞台は、首都圏のとある巨大なショッピングセンター(多分、イクスピアリ)。この中のいくつかのポイントに定点観察用のカメラを設置して行動観察を実施するというもの。対象は利用客の何気ない行動である。

まずは「コンビニの立ち読みコーナーがなぜ窓際に設置してあるのか」という質問の投げ掛けから始まる。店内に人がいることで「売れている」「敷居が高くない」という予断を与えることが目的であり、いわば「サクラ効果」を狙っているのである。次はショッピングモールの客の行動をいかに制御するか。例えば床にラインを引いて、大道芸を観る人たちと次の売り場に向かう人たちの流れが衝突しないように誘導する。また、特定の通路に人を流すために観葉植物で薄らパースを組んで見えない道を作る、などである(コメンテータの3氏のコメントはそれぞれユニークだった)。

同じ経営課題の解決のために複数案が提示され、それをスピード感をもってどんどん試行してみれば、随時確認できる。そう、これは仮説・検証という極めてオーソドックスな戦略・業務コンサルティングの世界なのである。