「好適環境水」が養殖のあり方を変革する

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3月8日放送の「未来シアター」(日本テレビ)で放映された「砂漠で魚が泳ぐ未来 好適環境水 開発者 山本俊政」は、海水魚と淡水魚を同時に飼うことができる水「好適環境水」を開発した岡山理科大学准教授、山本俊政氏の挑戦を紹介した。

「好適環境水」は淡水でも海水でもない第三の水と云われる。「どんな場所でも安定的に魚を飼育できる水」はいずれ来る食糧危機における救世主になるかも知れない。淡水魚が泳ぎ回る淡水の水槽の中に海水魚を入れると、栄養分をうまく取り入れることができないため、海水魚は徐々に弱って死ぬ。しかしその水槽の中に山本氏が独自の粉を混ぜると、アラ不思議、海水魚が息を吹き返す。この様子はまるでマジックを観ているようだ。

元々、魚の祖先は淡水、海水で分かれていなかった。当時の水を再現することが山本氏の狙いだ。これに成功すれば、水が貴重な砂漠でさえマグロを養殖できるようになるという。「好適環境水」は病原菌が発生しづらいため、養殖される魚も病気にかかりづらい。そのため抗生物質が不要であり、食べて安心である。しかも病気にかかりづらい環境だということは魚を密集させて飼育できる。これらが相まって、うまくいけばコストをかなり抑えることができるという。

当初、全く水産業関係者から相手にされていなかった山本氏だが、独力で失敗を繰り返しながらも様々な実験を重ね、成果を生み出していく(この様子は別の番組、テレメンタリー2012 動画「砂漠をマグロが泳ぐ日~不思議な水が養殖を変える」に詳しい)。
http://v.youku.com/v_show/id_XMzk1NTA2NTU2.html

その成果を認められ、今や岡山理科大学の研究室を任されている。現在、山本氏はトラフグやマグロなどの養殖に尽力している。去年11月には「海を知らない」トラフグを初出荷した。今年6月にはバングラデシュに養殖場を建設し、かの国の食糧危機対策をする予定だという。世界の食糧危機が来る前に成功しないといけない、立ち止まっている暇はない、と山本氏はエネルギッシュだ。こういう人、好きだなぁ。