昔話をします。
昔、日米合弁会社ですが、経営者が経済界の論客として無茶苦茶有名な人で、業界トップシェアかつとんでもなく高収益という、経営者の鏡みたいな人がクライアントでした。
この方は本当にうまく経営コンサルを活用してくれていました。私のいたファームだけでなく、他のファームも得意領域によってうまく使い分けしていました。
ちなみに私が担当した某プロジェクトでは、数千万円のコンサル費用で年間数十億の利益アップに成功しました(無茶苦茶短期のグローバルなプロジェクトでした!)。
この会社はその後、その名物経営者がいなくなって、経営コンサルを活用することもなくなり(私も業界をいったん離れたので不詳です)、やがて業績も悪化して親会社に吸収されてしまいました。
その親会社も事業環境が激変したため大リストラの末に業態変革しています。その親会社の経営者は、その業態変革に成功したことで名経営者とされていますが、「コンサルなぞ使うのは経営者の恥」と公言していました。
日本にはこういう未開人みたいな経営者が未だにいるのですよね。ある大手ファームの経営者(米国人)が離日前に私にこぼしたことがあります。「Hiro, なんで日本人経営者ってのは経営コンサルタントを利用することを隠したがるんだ?」と。
本来は大リストラに追い込まれる前にどんどん早めに手を打って業態変革でもすべきところなのですが、先の有名経営者にはそうした反省は皆無のようです。世間でもそうした問題には気づいていないようで、その経営者を誉めまくっていました…。
でも、同じ期間に内部だけでは3しかやれないところ、外部のリソースもうまく使って10やって、成長を実現し危機を未然に回避するのが、本当に優秀な経営者だと、私は考えています。
私の尊敬する某経営者(弊社クライアントの元経営者でもあります)も同様の考えだったようで、一人で他の役員数人分の重要プロジェクト・案件を常に回し、幾つもの経営コンサル会社をうまく使い分けしていました。
でも決して丸投げするのではありません。必ず要所要所で議論に参加し、論点が適切なのか、ズレていないのか、重要なものが抜けていないのか、方向性は妥当なのかを自ら考え、我々が提示する情報をダイジェストし、適切に判断しておられました。これこそが世界で通用する「あるべき経営者」の姿です。