私たちの生活の身近なところにある「補助金」。省エネ家電の買い替えや住宅のリフォーム、そして次世代の移動手段であるEV(電気自動車)まで、国や自治体は多額の公金を投じて普及を後押ししています。
しかし、ここで一つの大きな疑問を投げ掛けたいと思います。「なぜ、日本人の血税が、外国製品を普及させるために使われるのか」という点です。
外国製品に「塩を送り続けた」これまでの補助金
これまで、日本の補助金制度は「内外無差別」を建前としてきました。日本製であろうと外国製であろうと、基準を満たせば同様に補助金が支払われる。一見、公平に見えますが、その結果はどうだったでしょうか。
かつての液晶製品や省エネ家電市場を思い出してください。補助金という「ブースト剤」を得て国内に流れ込んできたのは、安価な中国製品でした。本来、日本の産業を活性化させるはずの資金が、結果として日本企業を駆逐し、海外メーカーのシェア拡大を助ける「皮肉な一助」となってしまったのです。
変化の兆し:CEV補助金に見る「評価軸」の導入
こうした反省からか、ようやく政府も変わり始めています。最新のニュース(下記参照)によれば、2024年度の「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金(CEV補助金)」では、単なる車両性能だけでなく、急速充電網の整備やアフターサービス体制、さらには災害時の貢献度といった「メーカーの取り組み」を点数化し、補助金額に差をつける仕組みが導入されました。
- 参考ニュース: 【CEV補助金】見直しで内容はどう変わった?
この結果、一部の海外メーカーの補助額が減額される一方、日本の生活環境に根ざした国内メーカーが適正に評価される形となりました(ただし大っぴらに国内製を優先している訳ではない)。これは「内外無差別」という幻想から脱却し、実質的な「国益」を考慮し始めた一歩と言えるでしょう。
世界のリアル:日本だけが遠慮する必要はない
しかし、世界に目を向ければ、この程度の措置はまだ「生ぬるい」のが現実です。中国、韓国、そして欧州の競合諸国は極めて戦略的です。
彼らは産業政策として開発段階で自国企業に巨額の補助金を投入し、販売段階でも環境規制や複雑な認定制度を駆使して、実質的に自国製品を露骨に優遇しています。世界が「自国産業の保護」というリアルな生存競争を繰り広げている中で、日本だけが律儀に門戸を全開にし続けるのは、公平ではなく「無策」でしかありません。
日本の産業政策と「歩調」を合わせるべき時
今後、EVだけでなく、家屋や商業施設における太陽光発電や蓄電池などの省エネ設備など、補助金の対象となる製品はさらに増えていきます。これらは日本のエネルギー安全保障と産業競争力の根幹を成すものです。
ここで必要なのは、「日本の産業政策と完全に歩調を合わせた補助金設計」です。 生産地がどこかといった狭い視点ではなく(これだと外国部品を日本で組み立てれば済むので雇用効果は小さいのです)、「日本国内の雇用、技術、そしてインフラ維持にどれだけ寄与しているか」を冷徹に判断基準に据えるべきです。
地元の県で生産しているか否かは関係ありません。日本全体の経済循環に還元される製品を、国を挙げて支えるのは当然の理屈です。
結論:今こそ「戦略的優先」の確立を
海外マーケットでのシェア争いが最終的な勝負を決めるのは事実です。しかし、足元の国内市場まで敵に明け渡す必要はありません。 日本もこれ以上、過度な遠慮をすべきではありません。戦略的な「日本製優先(あるいは日本への貢献度優先)」の補助金制度を確立し、守るべき技術と産業を徹底的にバックアップする。それこそが、国民から預かった税金を活用する政策ツールの、本来あるべき姿ではないでしょうか。
