サブスクモデルの盲点や将来の可能性はどんなものか?

ビジネスモデルブログ

先週に引き続き、The Ownerという経営者向けウェブメディアの『経営者のお悩み相談所』というコーナーで執筆した、第15回(私にとっては7つ目)の記事をご紹介します。題して『サブスクモデルの盲点や将来の可能性はどんなものか?』です。

今回の経営者からの質問は『サブスクモデルが最近どの業界にも流行っているように見受けられますが、サブスクモデルの盲点や将来起こりうる可能性について教えて下さい。個人的には、安易にサブスクへ走るべきではなく、これまでのサービスをサブスクにするからには戦略的な勝算を立ててからだと思っています』というものです。

 

(ここから記事の中身です)

結論からいうと「体力勝負の消耗戦になりやすく、レッドオーシャンにもなりやすい」というリスクの高いビジネスモデルなので、中小企業にはあまりお薦めではありませんが、戦い方がない訳ではないといったところです。その理由を解説するためにも、まずはそのメリット・デメリットを確認することから始めましょう。

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サブスクモデルのメリット

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サブスクモデル、すなわちサブスクリプション・モデルとは、企業が顧客に対して商品・サービスを一定期間提供し、月単位や年単位などの利用料を回収するビジネスモデルです。サブスクモデルの主なメリットを整理してみました(記事での表を参照されたし)。いずれも「売り切りモデル」との対比で考えられていることに注意してください。

利用者とすると一番大きなメリットは、初期費用を抑えられるので、興味がありながらもこれまで高額でなかなか購入に踏み切れなかった商品・サービスをお試し感覚で気軽に使うことができる、というものでしょう。「お試し」して期待通りでなかったら、月単位の契約なら最初の1ヶ月で解約してもいいし、「買って損した……」という気持ちを味わうリスクが少ないと言えます。飽きたら別の商品・サービスに切り替えることも可能なので、新しい商品やサービスに出会いやすくなるとも云えます。

また、買い切った製品なら最後の廃棄処分にも費用が掛かりますが、サブスクなら返せばいいだけなので、捨てる手間や費用が不要になります。所有物として管理する手間も省けます(企業の場合は意外とこの要素も重要です)。

一方、提供者である企業からみたときには、利用者が「気軽に試せる」というメリットを感じてくれれば利用開始へのハードルが下がります。それを見越して低価格なプランを提供することで、さらに顧客層を拡大できると考える企業も多いのです。単価が下がっても、大量に新規のお客様が増えかつリピートすれば大きな売上げになると考えるのです。そして(当初無料を含め)低価格で利用を開始してもらうので、「売り切りモデル」に比べて新規開拓の労力が軽くなります。

そして一旦サブスク契約をすると、一定の割合の利用客は商品・サービスに不満を抱かない限り継続利用してくれます。結果として「売り切りモデル」のときよりむしろ多くの収入になるケースも少なくありません。つまり提供企業とすると、利用客が満足している限り、とても「おいしい」ビジネスモデルになり得る訳です。「売り切りモデル」の場合には毎期の売り上げが大いに変動することがよくありますが、サブスクモデルなら事業全体としては安定的に売り上げを積み増しできるという望ましい特性を持っています。つまり事業の安定度が増す訳です。

(以下、記事に続く