オフィス労働生産性を向上させるために(8)『働き方改革』の手順を間違うな(2/2)

(以下、コラム記事を転載しています) ****************************************************************************

<<前回と今回とで、本シリーズのまとめ的なものとして、『働き方改革』を進めるのであればその手順をきちんと考えて進めるべき、という(極めて当たり前だが往々にして軽視されてしまう)ことをお伝えしている>>

(以下、前回の記事に続いて)

5.進捗・達成評価軸とモニタリング方法を決める

大きなプロジェクトであればあるほど実施してから効果が見えてくるまでに時間が掛かり、その間に「この活動って効果出ているの?本当にやる意味あるの?」という疑問が様々な関係者から噴出しやすく、折角その気になって進めている人たちのやる気を削ぎかねない。

そして『働き方改革』においては、社内セミナーによって中間管理職の意識を変える(ことでワークシェアリングが進むことが期待できる)など、間接的な打ち手が幾つも必要となる。それらの打ち手が有効かどうかは、最終的な効果(上記では業務量の偏りが減ること)を測ることもさることながら、その前に中間的な効果(上司の意識が変わること)が出ているかどうかを知ることが欠かせない。

つまり『働き方改革』のような全社的な業務改革プロジェクトの場合は特に、進捗状況や達成具合を時々測定して、本当に有効なやり方をしているかを自分たちでチェックする必要があるのだ。

そのための指標が、最終ゴールの達成具合を測るためのKGI(Key Goal Indicator)、中間的な目標の達成具合もしくは改革進捗具合を測るKPI(Key Performance Indicators)である。例えば「残業半減」が最終ゴールなら、「全社トータルでの前年比での残業量比率」がKGI、毎月の残業量の絶対数(と前年比の値)およびそのための社内説明会を完了した部署数などがKPIに選ばれる、といった具合だ。
そしてそれぞれのKGIおよびKPIをどうやってモニタリングし計測するのか(場合によっては計算するのか)をよく考えて、効率的な方法を決めておく必要がある。

ICT化が進んでいる会社では例えばPCの稼働状況で比較的簡単に業務量を計測できるが、そうした仕組みのない会社ではどうすれば把握できるか、工夫を要する。『働き方改革』推進のために全社員に自分の業務量を計算・申告させるのに毎週1時間掛けさせてしまう、といった笑い話みたいなことにならないようにしたい。

ちなみにこの「進捗・達成評価軸とモニタリング方法を決める」が順番として「『大きな改革』部分と『草の根改善』部分を切り分ける」のあとになっているのは、どんな改革が必要なのかがある程度見えてこないとKPIを決められないからである。

逆に次の「『大きな改革』部分での取り組みを進める」よりも前の順番になっているのは、取り組み着手前に決めておかないと測定が間に合わず、Before vs Afterの比較ができない羽目に陥る可能性が大だからである。

6.『大きな改革』部分での取り組みを進める

第4項で挙げた「『大きな改革』部分と『草の根改善』部分を切り分ける」というステップを踏まえ、先行して『大きな改革』部分に取り組むということだ。

当然ながら『大きな改革』部分での取り組みというものは難易度が高く、往々にして全社プロジェクトのような大掛かりで期待度も高いものである。それだけにトップダウン的アプローチで万全の備えで進めるべきである。

最近はあまり固有名詞としては聞かなくなっているが、一時爆発的に流行ったBPR(Business Process Re-engineering)*がこれに当たる。本来、BPRは流行ではなく、基幹業務に対するニーズが大きく変わるときには腹を据えて断行すべき業務改革の手法である。
* 「思い切った業務変革」を意味するBPRという固有名詞に関しては世界的にも毀誉褒貶が激しい。成功した企業にとってはその後の躍進の基礎になっていることも多い割に、競合に真似されないという観点や取引先への遠慮もあり、実はあまり詳細に語られないことが多い。小生が関与した成功事例も、公表できたのはごく一部だ。一方、失敗事例は随分多いようだ。しかしその失敗要因がきちんと分析されて次の改革成功のための糧となっている例は、ほんのわずかではないか。日本企業の長年の停滞の遠因の一つがこうした「自らの失敗を水に流す」体質であると感じるのは小生一人ではなかろう。
7.その後、『草の根改善』部分に取り組む

『大きな改革』部分の改革方向性が決まったら、別段その決着を待つ必要はない。順次『草の根改善』部分、つまり各現場の創意工夫に任せることが相応しいボトムアップ・アプローチによる業務改善活動を進めていけばよい。

この際には全社共通化もしくは標準化ということに囚われる必要はないが、他部門・他部署での工夫を知らずに無駄な試行錯誤、または諦めによる中途半端な妥協を許すのは実にもったいない。必ず他部門・他事業所での似たような部署の取り組み努力や工夫を共有化できるような仕掛けを作っておくことをお薦めする。

8.定期的に進捗・達成具合をモニタリング&評価する(そして必要に応じてやり方を見直す)

第5項で挙げておいた「進捗・達成評価軸とモニタリング方法」を役立たせる場面がようやく訪れる。

実際に働き方改革(業務改革)を進め、各種のモニタリング結果からBefore vs Afterの比較をすることで、「何が順調に進んでいるか」「何が滞っているのか」、そして「どういう側面で効果を発揮しているのか」「どういう側面は期待外れなのか」が随時判ってくる。

プロジェクト推進者諸氏(およびその支援者たるコンサルタントやICTベンダー)にとっては成績通知表を毎日・毎週突きつけられるようなもので、実に胃腸や精神によろしくない。とはいえ、これにより不具合な部分、配慮の足らなかった部分が即座にあぶり出され、その改善に着手するトリガーが否応なしに弾かれる。

このモニタリング結果およびその評価結果をどう使って次の手を打つか。それが結局はあなたの携わる働き方改革(業務改革)プロジェクトの成否を決める。成功を祈る。