日本の正しさを教えてくれるASEAN南部回廊の道

実に懐かしい景色が映っていた。タイやベトナムの最近の風景である。12月7日に放送された「未来世紀ジパング」の最新版、「池上彰が行く、アジア沸騰街道900キロ!」だ。4周年記念の拡大版スペシャル。

ジャーナリスト池上彰氏が、今年つながったインドシナ半島の「南部経済回廊」を走破するという放送だ。この南部回廊は、年末に発足するAEC=ASEAN経済共同体の大動脈になると見られている、注目の「沸騰街道」であり、その建設には日本があちらこちらで協力している。

今回はベトナム、ホーチミンを起点に、カンボジア、そしてタイのバンコクまで全長900キロを行く道中の映像が映し出されていた。実に懐かしく、そして面白いエピソードがあった。

ホーチミンの路上には相変わらずバイクや車が溢れ、40年前に戦争を終えたとは思えない発展ぶりを示していた。

日本の工場で実習生として働く人たちを訓練する学校で、池上氏が出会ったのは活気あるベトナムの若者たち。彼らが繰り返し学んでいたのは「コクイン(刻印)」といった、日本の工場で使う用語。別の部屋ではラジオ体操をする若者。そして、建物の入り口にはかつて日本の小学校には必ずあった懐かしの二宮金次郎像。ニッポンに留学し働いていたこの学校の社長が、ベトナムと日本をつなぐ熱い思いを語ってくれていた。

ベトナムとカンボジアの国境を越えると、カンボジアの道路事情の悪さが目立った。しかしやがて、のどかな風景の中に巨大な橋が突如出現する。全長5.4キロの「つばさ橋」だ。メコン川を渡すこの橋は、日本の無償資金協力で建てられ、今年4月に開通したばかりの立派な建築物だ。多くの人の足に貢献しているだけでなく、物流に飛躍的なメリットが生まれていたことが語られていた。

ベトナムの港についた荷物が物流トラックに積まれ、南部経済回廊を経て向かう場所、首都プノンペン。着いた場所は経済特区、そこには数々の日本企業が進出していた。そのひとつには日本から送られてきたばかりの古本マンガの山。4000キロ離れたカンボジアに50万冊のマンガが運ばれ、そこで綺麗に再製本され、再び日本に送り返されるのだ。前に一度観たことがあるが、やはり壮観だ。労働者は「ここはペイがいい」と言い、経営者は「ここは真面目な労働者ばかり」と言う。ウィン・ウィンとはこういう関係を言うのだ。

日本が造り、カンボジアの人々に長く使われている有名な「日本橋」。その真横に去年、「中国橋」というもう一本の橋が完成していた。その橋のたもとには両方の橋とも中国が作ったと誤解されかねないような位置に、巨大な中国国旗が掘られた石碑ができていた。これは中国らしい、嫌らしい恥ずべきやり方だ。

かつてカンボジアの最大の支援国だった日本を抜き、中国がこの数年、カンボジアで大攻勢をかけていることは周知の事実。しかしやり方がえげつない。不動産開発も爆発的だ。メコンの小島を埋め立ててできた土地には、あのシンガポールの代表的なホテルを模倣したビルが建設中だ。さらに、海岸5分の1を買い占めるリゾート開発も進んでいた!

番組のゲストも言っていたが、そのうちこの地でも、中国に対するこらえきれない反発が起きて、大きな問題になりそうな気がする。一方、ニッポンは独自の道を行けばよい。

南部経済回廊の道中で映し出されたのは、地雷の捜索活動の現場。カンボジアにはポル・ポト政権以降の内戦時に埋められた地雷がいまだ600万発眠っているといわれ、いまだに犠牲者が後を絶たない。地雷撤去に活躍する地元組織を支えるのは、日本政府。地雷探知機や車両の提供などを行い、地道な地雷除去を支援している。これでよい。日本は儲けること以上に、本当に現地の人たちの役に立つ仕事をすればよい。