日本ではなぜアルミサッシを使い続けるのか?

住宅建築業界では幾つもの問題が秘かに語られている。個人消費者相手のビジネスで金額が大きい反面、リピート取引を期待しにくい(一生涯に2個も3個も家を新築する人はそんなにいない)ため、いい加減な商売をする連中がなくならないとされる。しかしながらリピート客を期待できるリフォーム市場でも似たような問題を聞く。結局、消費者が自ら情報を集めて勉強して、自衛するしかないのではないか。

 
ハウスメーカーや工務店の姿勢を如実に反映するものの一つが、「断熱」に関する考慮だ。「断熱」は間違いなく住み心地を大きく左右する。

「断熱」の効果を決める要素は幾つかあるが、素人にも比較的理解しやすいのが、限られた予算の中でどんなサッシの窓を提案されるかだ。これは新築でもリフォームでも共通する。アルミサッシを安易に提案してくるハウスメーカーや工務店は警戒したほうがよい。なぜならそれは「住み心地を無視したコスト削減」の典型だからだ。

サッシメーカーのカタログやウェブなどを見れば気づくと思うが、昔ならアルミ一辺倒だったサッシ製品は、今や結構な割合を樹脂サッシおよび木製サッシ、もしくは「複合サッシ」というアルミサッシと樹脂サッシを組み合わせた商品が占めるようになってきている。日本の消費者が住み心地を求めるようになり、少しずつアルミサッシが押されているからであればよい傾向だ。でも住宅建築の現場では必ずしもそうではない。

実はアルミサッシのシェアがこんなに高い先進国は他にない(↓の記事は少々古いが詳しい。もう一つのブログは一条工務店のファンらしいが、内容的には正しいと思われる)。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO78836460U4A021C1000000/
http://www.smart-house-report.com/housing-facilities/housing-facilities-window-1/
アルミサッシと樹脂サッシを比べたとき、両者の熱伝導性には雲泥の差がある。アルミサッシの窓では冬になると(沖縄辺りを除けば)屋内にいても外の寒気がモロに伝わってしまう。当然ながら、暖房を強くすればするほど冬の光熱費は高くなり、室内での場所による寒暖差が大きくなりヒートショックを引き起こしかねない。

冬になるとアルミサッシには(外気が伝わり冷たいままのサッシに室内の水蒸気が触れることで生じる)結露が発生しやすく、その水がカーテンなどに吸われてカビが発生しがちになり、健康被害を生みやすくなる。我が家でも経験があり、当時はとても悩まされたものだ。つまり住み心地のよさにはほど遠い商品なのだ。

樹脂サッシならこんなことはない。でも残念ながら費用は高い。なぜならアルミのほうが加工しやすく、しかも主要な製造ラインがアルミを前提に設計されているため、メーカーとするとアルミサッシを作り続けたほうが儲かることも間違いない。

そのため、最新の住設機器や見栄えに執着する一方で費用を下げることばかり主張するような施主(住宅を建てようとしている消費者)に対しては、樹脂製ではなくアルミサッシを提案するという行為が、住宅建築の現場では当然のごとく行われている。中途半端な聞きかじりで「断熱」を希望する客には2重ガラスにアルミサッシを組み合わせるというおかしな提案を平気でするケースもあるらしい。

でもそもそも、アルミサッシがそんな問題をもたらすことを、ほとんどの施主は知らない。それはビルダー(ハウスメーカーや工務店)側がプロとして教えるべき情報だ。

もしかすると、アルミサッシの問題を知ることも気にすることもなく何十年も商売を続けている不勉強な工務店だっているかも知れない。問題を認識しながらも、予算内に納めるためアルミサッシを使い続けている工務店も少なくなさそうだ。大手ハウスメーカーの幹部ともなればアルミサッシが抱える問題を知らないはずはないのだが、未だに知らん顔して売り続けているように見える。

どちらのほうがより問題が大きいかは分からないが、いずれも真っ当な商売の道からは外れている。アルミサッシは忌避すべき建材の代表なのだ。