政府も医療関係者もパニックになってはいけない

首都圏4都県に加え、関西や東海など7府県にも緊急事態宣言が広がりました。昨年春との違いは、全国一律でないこと、全業種でないこと、時短要請に対応した場合の補償額がアップしたことなど、「要所へのピンポイント対応により経済的損失を減らす」ことが強く意識された措置です。

しかし相変わらず感染者数の急増が続いていることと、人出が大して減らないことから、これらの措置を「中途半端だ」「危機感が浸透しない」という批判が各所で強くなっています。特に医療関係者の「医療現場は逼迫」「医療崩壊が始まっている」といった危機感を訴える声と各都府県の知事の悲鳴に近い要請が相まって、頑なだった政府の対応を一部変え、当初は拒絶されていた緊急事態宣言に繋がっているのです。

また、報道機関やTVのワイドショーなどで伝えられる「街角の声」では、政府の対応を遅すぎる/生ぬるいと批判する声や「自分自身はあまり危機感は感じていない」「(人通りなどを見る限り)世の中の危機感が足らない」といった声がいくつも集められています。一方で、そうした批判に屈した格好の政府(特に菅首相)の対応に対し、今度は「ブレないはずじゃなかったのか」などという揶揄の声も高まっています(これには正直、政治的な意図も見え隠れします)。

「『メリハリを利かせてやり抜け』と言えば強引と言われ、一部妥協すれば『腰砕け』と批判される。どうしろと言うんだ」というのが菅首相の気持ちでしょうね。

所詮、テレビ局は視聴者(大衆そのものです)の声の多数派にすり寄るだけで、それに合致する意見だけを映像で採り上げています。またワイドショーで批判だけしている連中は無責任なコメントを言っているだけですから、あまり振り回されないほうがいいと思います。

そんないい加減な思い付きの意見に右往左往するよりも、政府および専門家会議は、証拠としての事実と科学的な分析に基づき、ここまでの打ち手の何が効果を発揮して何が効果を生んでいないのかを冷静に峻別すべきです。ムードに流されて後でほぞを噛む羽目になってはいけません。その悲惨な結果は、一番弱い人たちに過酷な状況を押し付けることに直結します。

そもそも緊急事態宣言を発したタイミングで、「複数人でアルコールを含む飲食をした場合と大声を出す状況での飛沫感染」が感染爆発の真の原因だという十分な根拠のある状況分析が出ていたのなら、政府はそれを公表した上で、その機会を徹底的に抑制する手段を取ればいいのです。

具体的には、酒類を出す飲食店やカラオケ店、観客が大声を出すポップスやロック系のコンサートなどのイベントには昼夜関係なく2ケ月ほどの休業または延期の要請を出して、手厚い補償措置をすればいいのです。それ以外の店などには厳密な感染対策を施してもらい、従わないお客には入店/入場を断ることを断固実施させればいいのです(そして自治体には地元で営業している店がきちんと感染対策しているかをパトロールさせ、中途半端な店には警告するのです)。

そして感染対策をきちんとしていない会社や店、そしてリモートワークできるのに徹底実施しない会社に関しては、自治体窓口への内部通報を促し、「行政指導があるよ」と警告するのです。これは(情けないけど)日本では非常に効きます。

こうした措置はメリハリが肝心で、そのメッセージが強ければ強いほどインパクトある形で伝わり、それが自覚なしに感染を広げてしまっている人たちへの警告にもなります。全県じゃないからとか全業種じゃないからメッセージが弱いというのは間違いで、その徹底のやり方が中途半端だとメッセージが弱くなるのです。これは企業経営でも同じです。

感染が低い水準にとどまっている地域まで緊急事態宣言の範囲を広げる必要は当然ありませんし(「これもオプションだ」と言う医療関係の偉いさんがいましたが、不見識極まりないものです)、全業種が休業・閉店する必要はまったくありません(そんなことをしたら、コロナで死ぬ/観戦で苦しむ人の数倍の人が自殺または経済的苦境に追い込まれます)。ピンポイントで狙ったところに関して徹底的に追い込むことが必須です。

PS コロナ感染患者に措置を行っている医療関係者の方々には感謝しかありませんし、「医療現場は逼迫」「医療崩壊が始まっている」という声は事実ですが、それは日本では一部の病院しかコロナ感染患者を受け入れていないという現実を反映したものです。普通の病院では導線を完全に分けることもできないし、そもそも医者も看護士も少な過ぎてコロナ患者対応は無理です。コロナ感染患者を受け入れている病院では他の病気の患者さんを看る余裕はなくなっていますが、そうした患者さん達はコロナ感染患者を断っている普通の病院に行ってもらえばいいのではないでしょうか。医療関係者こそ冷静になって欲しいと思います。