安倍首相の辞任と新政権への期待

「特別な夏」が終わろうとする中、飛び込んできたのが安倍首相の辞任宣言です。実はお盆の最中に、行きつけの美容室のお兄さんに「こないだから安倍さんの顔色が悪いね、前回の辞任の時とおんなじ。もうこの内閣は長くないよ」と珍しく政治談議をしたばかりなので、却ってびっくりしました。

安倍首相、とにかくお疲れ様でした。ゆっくりと休養していただきたいものです。色々と取りざたされていますが、第二次安倍政権は期間が長いだけでなく日本社会の最悪期からの転換をもたらしたことは間違いありません。

内政的には金融政策の大転換と財政出動により、超円高の反転に成功して日本経済の危機を救い、株価の復活にも成功しました。それ以外の点については成長戦略が本質的なものに欠け、看板を掛け替えることで中途半端に終わっている感が強いのは事実です。一方、外交については、極端に悪化しかねない国際情勢に対しバランスをとってうまく対処してきたと言えるのではないでしょうか。トータルで見るとなかなかのパフォーマンスだったと思います。

次の首相に関しワイドショーが下馬評談議をしているのを横目に、一旦急落した株価が急回復していることから、世の中は「誰が次の首相になっても政策は大して変わらない」とみているそうです。本当にそうでしょうか。そしてそれでよいのでしょうか。

直近で見れば、コロナ禍とその不手際対応による景気悪化とそれがもたらす社会の先行き不安。中長期的には、人手不足にもかかわらず思い切った国内投資に躊躇する企業心理。改善しようにも、一段と悪化した財政が政府の手を縛る…。間違いなく、これまで以上に賢明なるリーダーシップが求められる状況です。

しかし一方で日本は世界最大の債権国であり、「家計・企業の現預金」マイナス「政府の純債務」もまた世界最大です。つまり日本は世界最大の金持ち国でありながら、民間企業が国内の人・モノへの投資を躊躇することで、そしてイノベーション投資への官民のサポートが細ることで、国内における産業縮小と困窮層の拡大が進んできた訳です。

(コロナ禍への対応に加え)この不都合な悪循環を正すことこそ、新政権が優先すべきことのはずです。それには「日本の明るい未来像」とそこに到る処方箋を示すことで、「日本はまだ伸びる市場だ」「日本社会は今後よくなる」という社会心理の転換が果たせる場合のみ、消費と民間投資は持ち直し、経済の再成長がもたらされるはずです。

 
その意味で新首相選びは日本の前途と密接に関わります。しっかりと注目しましょう。