ワクチン反対派ではなくワクチン逡巡派を助けたい

(以下、コラム記事を転載しています) ****************************************************************************

ワクチン接種の薦めに対し少なからぬ反対論がネット上であることは承知している。しかしそれでも小生がワクチン接種の薦めを続けるのは、ワクチン反対派を説得しようとしてではなく、ワクチン逡巡派を助けたい一心からだ。

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少し前に『君はなぜワクチン接種を迷うのか』というワクチン接種の薦めの記事を書いたところ、多くの賛同をいただいた。しかし同時に、わが社まで電話を架けてきて抗議しようとする「自称・知識人」がいたり、ネット上では意図的にこの記事の一部のみを切り出して揶揄する連中もいたりする。そこで、以下に小生のスタンスを整理して明らかにしたい。

 
【前記事と本記事の訴求対象は誰か】正誤乱れ飛ぶネット上の情報、特に「陰謀論」「トンデモ情報」に惑わされてワクチン接種をためらう人たち。もしくはそうした人たちの周辺にいて、彼らを助けたいという気持ちを持っている人たち。

【なぜワクチン反対派を説得する意思はないのか】所詮、ワクチン接種は個人の自由意志に基づくものであり、一旦ワクチン接種をしないと決めた人を説得しようとしても聞く耳を持たないので、時間の無駄だから。

【ではワクチン反対派に言いたい一言は】ワクチン反対派を気取るのは勝手だが、いざ自分が感染して呼吸困難になっても入院は拒否するのが筋。「所詮、風邪みたいなもの」なんでしょ?

【ワクチンの本質的効用とは何か】万一感染した時の症状の度合いを一段も二段も下げてくれることに尽きる。つまり死亡したかも知れない人が命を失わずに済み、重症化したはずの人が軽症で済み、軽症・中等症で後遺症が残ったはずの人がほとんど後遺症が残らずに済むこと。

【接種済でも感染することがあるならワクチン接種は無駄ではないのか】ワクチン接種による感染予防というのは、体内に侵入したウイルスを早めに抗体が排除したお陰で、感染自体を非常に軽微な状態で止めて回復に向かうことができた状態を意味する。そこまでうまくいかず、たとえワクチン接種済でも一旦感染することは稀ではない。これはブレークスルー感染と呼ばれる。肝心なことは、その場合でも発症の度合いは相当軽くなるということである。

【ではワクチンによる感染防止は主目的ではないのか】感染自体を抑制するというのはワクチンの効用が現れる一つのパターンに過ぎず、主目的ではない。結果的に他者への感染が抑制され、社会全体の感染を抑制することにもつながるが、ワクチン接種はあくまで第一義的には本人のためである。これが重要なポイントだ。そこを勘違いすると「あなたの周りの人を守るために接種しましょう」というおかしな誘導になり、それが「社会のために若者に犠牲になれと言うのか」といったトンチンカンな抗議につながる。周りの人を守るためにすべきはマスク着用だ。もちろん、「周りの人を守るために接種したい」という素晴らしい自己犠牲心をお持ちの人の気持ちを否定するものではない。

【今の新型コロナワクチンは大規模な治験が行われていないと聞いたが本当か】真っ赤な嘘である。今流通しているワクチンはいずれも大規模な臨床試験(治験)が行われている。ワクチン反対派がこのデマの根拠にしているのが、米国では当初、緊急許可制度に拠ったことだと推測できる。日本では既にファイザー製、モデルナ製、アストラゼネカ製のワクチンが正式に薬事承認されている。その後、米国でもファイザー製には正式承認が下りており、モデルナ製も申請手続きが完了し承認待ちである。

そもそも既にこれだけ世界的に使われていて問題が生じておらず、承認申請データと実績データとの乖離もないことが判明している段階において、「大規模な臨床試験が行われていない」こと(嘘だけど)を不安材料として挙げるのは、ワクチン反対派のデマ作戦として稚拙だと思う。

【新型コロナワクチンを接種すると妊娠しない、または奇形児が生まれる恐れがあると聞いたが本当か】これも真っ赤な嘘、かなり悪質なデマである。どこにもそんなデータは微塵もない。そうしたデマを吹聴している医師が(ほんの一握りだが)いることは事実だが、彼らには利益誘導の意図(後述)がある。大多数の医師と科学者はそうしたデマを否定し、自らはもちろん、自らの家族にもワクチンを接種させている(これが重要なポイント!)。

【なぜ医師でもないコンサルタントがワクチン接種を推奨するのか?何か利益誘導があるのか】小生がこうした記事を書く意図は、単なる義憤だ。過去に生化学技術に関連するテーマの仕事があったためmRNAワクチンの有用性を理解できる立場からすると、自らの利益のために(後述)デマ情報を再生産し続ける「陰謀論者たち」と、彼らにいいように操られてデマ情報を拡散することで多くの若者にワクチン接種を迷わせる罪深きワクチン反対派に対しては義憤を覚える。念のために言えば、わが社のクライアントにはワクチン接種によって利益が上がるような会社・団体はいないし、政府に対しおべっかを使う必要もわが社にはない。記事が多くの人に読まれても小生に特段のメリットはない。

【「陰謀論者たち」の利益誘導の行動とは何か】ワクチン反対派が主張する「ワクチンは危険だ、一部の連中の陰謀だ、騙されるな」という情報の源泉をたどると20人程度の人間に行き着くそうだ。そうした少数の人間が、手を変え(アカウントやメディアを変え)品を変え(表現を変え)、何度も何度も同様の趣旨で根拠のない情報を発信し続けているのだ。ではそうした根拠のない情報を再生産し拡散をしようとする彼らの狙いは何か。それは彼らの多くが自らのブログや動画サイトを持ち、そこにワクチン反対派という彼らの「信者たち」と多数の「迷える羊たち」(ワクチン逡巡派)を誘導することで広告費を稼げるのだ。中にはこの機会に自らの「トンデモ本」を出版してそれを大々的に売ろうとする輩もいる(先に挙げたデマ吹聴医師もこのいずれかまたは両方に含まれるようだ)。もしかするとそこから新興宗教かスピリチャルサークルなどへの勧誘につなげる意図を持っている奴もいるかも知れない。少なくともワクチン反対派というのは陰謀論者たちにとっては「いい金づる」なのだ。こいつらは特殊詐欺で云えば「金主」と「リーダー」に当たる。

【ワクチン反対派はどういう意図で情報拡散しているのか】ワクチン反対派の多くは善意でデマを広げている、悲しい愚か者だ。自らの利益への誘導を図る「陰謀論者たち」の企みにまんまと乗せられて、自己満足的な正義感に駆られて日夜懸命にそのデマを拡散し、結果としてワクチン逡巡派がワクチンを打つ決断をするタイミングを遅らせる(または永久に打たずに済ます)ことで感染者を増やすように仕向けている媒介役を果たしている。この連中は特殊詐欺で云えば「架け子・受け子・出し子」に当たる。ただし一種の犯罪に加担しているという悪気はない。それだけに余計に厄介だ。

以上