ジェットコースター人生が伝える「人生、塞翁が馬」

日曜の午前、以前から誘われていた知人のセミナーに参加しました。その方自身のジェットコースターのような人生を語り、そこで得た教訓を語るという趣旨でした。端的に言って、「人生、何がきっかけになるか、何が障害になるか、分からないものだな」という感想を持ちました。

実は以前に、簡単ではありますが、仕事の打ち合わせの合間の歓談として、その方から個別にお話を伺ったことがありました。確かに普通の人があまり得られない貴重な体験をされていることは感じましたが、考えさせられるほどではなかったのです。

その方が超大手会社の特殊業務担当として、今や世界的富豪になったある人物からの出資依頼を断ったことがトピックの一つでしたが、その際には格別な感慨はありませんでした(むしろ「やはり普通のサラリーマンには本当に筋のよいベンチャーを見極めるのは難しいのだ」と思っただけでした)。

ところが今回の話は2つの点でリアリティが格段に強くなっていました。一つは、その事業計画書に関する手書きメモのコピーを見せていただいたことで、「ああ、本当に断ってしまったんだ」というリアリティを感じたことです。ご本人も言っていましたが、その当時、そういうビジネスが成り立つとは全く想像ができなかったのです。当時は「ヨタ話」が無数に押し寄せていたようで、その一つとして真剣に検討しなかったのでしょう。「まともなVCは人を見て投資するかどうかを決めるのに、私は書類上のうわべの数字だけで判断しようとした」と反省の弁を仰っていました。

もう一つのリアリティの理由は、その手書きメモが荷物から出てきた経緯が、ご当人がこの2月に「夜逃げ」をしたからだということで、驚きだったのです。その方は昔、あるビジネスでひと山当てて大金持ちになりながら、その後事業も不振に陥っただけでなく、友人と母親の連帯保証人になったばかりに(ご当人は「いい気になって脇が甘くなった」と仰っていました)、母親名義の不動産を相続した途端に、姿をくらました友人の借金の片に全ての財産を差し押さえられてしまったそうです。昔話ではなく去年から今年にかけての話なので、かなりびっくりしました。

いろいろな会社の相談役やNPOの理事などをやっている顔の広い方ですが(その関係で昔、小生にも相談があったのです)、それと並行して米国の超大手企業との特許紛争を抱えていることも初めて聞きました。なんとトラブルだらけの20年あまりだったことでしょう。でもそんな窮した様子は殆ど見せなかったのが、その方の凄いところです。

今や似た様な経験から精神を病んだり自殺したりする人を救いたいと思い、そうした悲惨な体験を自ら語り継ぐことを思い立ったそうです。ご本人が「語りは苦手」と仰る通り、話はところどころまとまりに欠けてメッセージが伝わりにくい面もありましたが、その趣旨に賛成ですし、その方の人脈が役立つ案件があれば何とかご紹介したいとも思った次第です。