にわかに信じがたいほどの悪質性。これが事実ならもう言い逃れできない。

呆れかえる以上に悲しい気分。あれだけの難行を成し遂げた大経営者がどうしてこんな私腹を肥やすことにうつつを抜かしていたのか。

正直、有価証券報告書の虚偽記載容疑については、堂々と「俺は年額20億円をもらうだけの仕事をしてきた」と株主に主張すべきだったと思うし、もしそれが多数の株主から拒否されるようなら潔く辞めるべきだったと思う。なぜそれをしなかったのか、そこは残念で仕方ない。

有価証券報告書に記載される分を超える額については引退後にもらうことにしていたのはセコイが、グレーゾーンの行為であろう。グローバル大企業が法人税逃れのためにタックスヘイブンに設立した子会社に利益を集めるのと本質的には似ていて、専門家に(この場合、所轄官庁たる金融庁にも)確認してお墨付きをもらったから「あら、できるんだ。じゃあ」と実行した、という話である。褒められたものではないが、法律的な観点で見れば違法性については本当は問いづらい。東京地検は負け戦(不起訴, 無罪 or 実質無罪)かと予想していた。仮に有罪になっても、「日本独自の屁理屈を並べ立てるガラパゴス判決」と西洋諸国からバッシングを受けることになるのではと危惧していた。

しかしこの特別背任罪容疑に関しては、どう言い立てても実態としては私的利益のために会社の資金を流用した以外には理屈が立たない。
裏付ける事実があるなら、この「隠し玉」こそ実は東京地検にとっては本命の「ゴーン起訴」容疑となるのではないか。