「メルセデスが選ばれる理由」には意外なものもある

自動車業界の人だけでなく一般の人でも「メルセデスが輸入車No.1である」ことは結構知られているかと思います。その理由は幾つかあります。

 
理由の一つでよく知られているのは、サプライ(供給)サイドの事情です。

 
輸入車ディーラートップのヤナセが、(VW本社が日本支社を設立したために)フォルクスワーゲンの独占輸入権を取り上げられた際に、(フォルクスワーゲン取り扱いを止めて)最重要車種をメルセデスにしたことです。ヤナセとすると、日本市場でのVWブランドをそこまで育てた恩を仇で返された格好だったので、VW本社を見返すため非VWに切り替えた上で、優秀な営業部隊の全力を挙げてメルセデスの販売台数を一挙に増やしたのです。

 
そしてヤナセ以外のディーラーも「(メルセデス販売では)新参者のヤナセにばかり売られてたまるか」という意地と相乗効果も働き、メルセデスの輸入販売台数は短期間でフォルクスワーゲンを抜いたのです(ちなみに今でも輸入車第2位の地位はVWです)。

 
もう一つの理由は、サプライサイドとディマンドサイドの両方にあります。メルセデス本社が「日本市場というのはかなり有望だ」と判断し、日本での取り扱い車種を一挙に増やしたことです(これはメルセデスの日本支社が認めています)。そのお陰で日本での多様な需要が掘り起こされました。

 
輸入車の市場は国産車と違って、通常は本国で売られている車種のごく一部しか取り扱いがないので、せっかくそのブランドが好きでも、好みの車種がないがために「買いたいのに買えない」ということがしょっちゅう起きています。メルセデスの場合は1台当たりの粗利が大きいこともあり、他の輸入車ブランドに比べ、台数がそれほど出ない車種も輸入して取り扱う傾向があるようです。

 
そして第三の理由、これはディマンドサイドにあり、しかも結構意外なものです。

 
皆さんの中には「ベンツは中小企業の親方が税金対策で買うので、高い車種ほど売れる」という尤もらしい話を聞いたことがあるでしょうか。実は半分ほど当たりで、半分ほど外れです。

 
中小企業の経営者が、予想外に利益が出過ぎた期の終わりに色々なものを買って利益を圧縮し、税金を減らそうとする。これは実際上行われています。でもまったく不要なものを買っても必ずしも経費で落とせないのでは意味がありません。その点、車は「営業車として使う」という名目が立つので、実際に経費で落ちます(大半のケースを税務署が認めるということです)。

 
その際に(クルマは色々とある中で)なぜメルセデスが選ばれているのか、これが重要なのです。

 
答は、中古車価格が値崩れせず、かつ換金性がよいからです。つまり何年か乗った後、利益の上乗せが必要な期や急なキャッシュが必要になった際に現金化が容易かつリーズナブルな金額になること、これが税金対策用にメルセデスが選ばれる理由なのだそうです。

 
だから実際に中小企業の経営者が利益圧縮を図る際は、買った価格と売る際の価格差が小さいように、(中途半端な新車ではなく)元の値段が高いメルセデスの高級車種の「中古車」が好んで買われるらしいです。つまり「ベンツもコスパで選ばれる」ということです。でもそのお陰で中古車価格が安定するという好循環が生まれているのです。

 
税理士出身の人から聞いた、嘘みたいでホントの話です。もちろん、そればかりがメルセデスが「選ばれる理由」ではないですよ。でも純粋な意味での人気に加え、世の中の”経済的理由”というのが大きな底上げ要因になっていることは間違いありません。