“黒船家電”が凄いのではなく、ニッポン家電の開発体制に問題あり

BPM

7月2日(水)のNews Watch 9は「“黒船家電”続々と日本市場に」でした。

いま日本の家電市場で、海外メーカーが次々とヒット商品を生み出しています。日本得意の家電の市場に乗り込んできた海外メーカーの製品は「黒船家電」とも呼ばれているそうです(無茶苦茶なネーミングだなぁ)。

今回採り上げられたのはオランダの電機メーカー、フィリップスです。担当者は本社とのビデオ会議もほぼ毎日のように開いて、世界中の情報をタイムリーに集めていました。世界のトレンドを踏まえ、迅速に日本で商品投入を進めるだけでなく、発売した後もいかに商品の魅力を高めていくか。「スピード感」が印象的だと取材記者のコメントにありました。

対抗する日本メーカーとして取材されていたのが三菱電機。世界で初めて「電気釜」や保温機能のついた「炊飯ジャー」を開発した会社です。映像から感じられるのは、エンジニアたちのひ弱さと、それを「指導」する幹部たちの人たちのセンスのなさでした。

このメーカーは産業用FAや制御装置に強く、家電は主流部門とは言い難いものがあります。そのためか少々ピントがずれている感じが強く伝わってきました。

三菱電機の家電製品。「掃除機の操作性の改善」、「簡単に水を計ることができる炊飯器の釜」、「炊飯器の音が聞こえやすい部品」…。細部にわたる改善で、新型モデルを毎年のように市場に投入してきましたが、はっきり言って誰が欲しがるのでしょう。

専門家は「過去の成功にとらわれすぎて、前例を踏襲することで、斬新なアイディアが生まれにくい」と指摘していると取材者は指摘していますが、これはオブラートに包んだ表現でしょう。はっきり言えば、「過去にも成功していないし、他社の成功例を後追いで真似してマイナーチェンジで『柳の下の2匹目のドジョウ』狙いに過ぎない文化を引き摺っている」と断定すべきです。

番組の中で、三菱電機の家電製品開発部門が若手開発者の発想力を伸ばすために幹部上司が指導している様子が映し出されていました。その中で採り上げられたアイディアの例に「近づいただけで蓋が開く炊飯器」というのがありました。小生と一緒にビデオを観ていたうちのカミさんが一言、「売れないわよ」。確かに傍を通る度に蓋が開くような炊飯器、誰が欲しがるというのでしょう。

「きっとウォシュレットからの発想ね」という真っ当な推測をしたうちのカミさんがさらに指摘したのは、「家電商品を開発するチームなら、主婦をしている女性を入れなさいよ」という点でした。全くその通り。残念ながら、指導者たる幹部の人の経営センスのなさが端的に表れていました。これではニッポンの家電の苦境は続くかも知れません。