長野の年金基金にみるファンド管理業/投資顧問業のいい加減さ

ビジネスモデル

長野県建設業厚生年金基金というところはあちこちからカモにされていたようだ。AIJ投資顧問による詐欺事件の被害にあった年金基金の一つなのだが、別のファンド運営会社が、投資顧問先3社を介して同基金の資産を預かり、経営状態が悪化している企業の未公開株に投資した結果、損失を出したとのことだ。

同基金については前事務長が着服容疑で全国に指名手配されているということで報道があったばかりだ。そこに今回、金融庁の調査で、さらに大きな損害実態が判明した訳である。

その金額、約46億円という。AIJ事件が表面化する前の今年1月時点で年金資産は175億円程度とされていたとのことなので、AIJ事件での約34億円と合わせて、半分近くまで基金が減ってしまった模様である。

この話でひどいのは、同基金は運用委託契約を3社と結んでいたにも関わらず、というところである。ソシエテジェネラル信託銀行、スタッツインベストメントマネジメント、ユナイテッド投信投資顧問の3社が、今回判明した別の未公開株ファンドにも投資をして大損(68億円→22億円)をさせたということである。

しかもこの未公開株ファンドの管理会社(アール・ビー云々という名称)は詐欺容疑で家宅捜索されるような悪質なところなのである。AIJ投資顧問に加えて今回のアール・ビー社という、複数の詐欺的運用会社に多額の年金基金の資金を投じるということで、実態調査もせずに運用会社を決めていたとしか考えられない。プロとしてあってはならない体たらくである。廃業して欲しいくらいである。

小生は元々「投資顧問業」という連中は胡散臭いと思っていたが、ここまで腐っているものだとは信じられない思いである。日本経済がおかしくなってしまった一つの重要な要因は日系金融業のレベルの低さ(その結果、多くのまともな企業が外資系に食い物ににされたこと、海外展開の機会を逃し続けたこと)だと小生は思っているが、こうした犯罪レベルの話を聞くと、何をかいわんやと感じる。小生の知る多くの金融マンは真面目な人たちばかりで、金融業全般がこんなものとは決して言わないが、この業界ではひどい連中は骨の髄までひどいものである。