竹島上陸に象徴される「日本叩き」パフォーマンスの背景にあるもの

グローバル

2日続けて未明のサッカーTV観戦で敗戦し、堕ち込んでいるところに嫌なニュースが、しかもその直前の敗戦相手から飛び込んできた。李明博大統領が竹島に上陸したという。先日のロシアのメドベージェフ大統領の国後島上陸と同じく、「この土地は日本には渡さない」というアピールをしているのであり、明らかに政治的挑発と国内向けパフォーマンスである。

憲法裁判所に急かされて先般から韓国政府が要求している「従軍慰安婦問題」に対し、日本政府が解決済と相手にしていない態度に韓国内世論が苛立っていることに関し同調し、日本に対し弱腰でないところを見せた、というスタンスらしい。本音は、レイムダック化している上に李大統領の親族が汚職容疑で逮捕され末期症状を示している李政権として、国内問題から目をそらさせる格好の対象としての日本叩きの政治的パフォーマンスである。全く残念である。

元々親日家として知られる李大統領は、当選直後を除けば、ずっと支持率低下に悩んできた。経済通という前評判通りにFTAなどで指導力を発揮し、リーマンショック直後の経済混乱を短期で切り抜けるばかりか、輸出主導型の経済成長路線で客観的には素晴らしいパフォーマンスを発揮してきた。それにもかかわらずずっと支持率低下・低迷に悩まされてきたのは、一つには社会格差の拡大に対する無策を非難され続けていること、そしてもう一つ表立っては指摘されないが、やはり親日家としての評判が足を引っ張ってきたのである。

これは朴正煕(パク・チョンヒ)軍事独裁政権と類似している。絶大な権力を誇りながら暗殺により突如終了した政権であり、最近になってその業績が再評価されているが、終了直後の評判は地に堕ちたものだった。それほど彼の国では親日的態度は政治的には命取りになりかねない微妙な要素なのである。元々支持率低下が常態だったので、もしかするとこのまま「日本叩き」もせずに任期満了を迎えることになるのかと期待していたのだが、執拗なメディアの「日本叩き」リクエストに抗しきれなかった模様だ。

竹島領有問題はどうやら国際司法裁判所へ提訴するというパフォーマンスを日本側が見せ、多分韓国側が無視するという形で、あいまいな決着が図られるのだろう。一時帰国した武藤駐韓大使が再帰任するきっかけがそういう形で得られるのではないか。そうして両政府とも国民に格好をつけるのである。そして「従軍慰安婦問題」も日本大使館前に設置された少女像も撤去されないまま続くのだろう。全く彼の国の収拾のつかないナショナリズムにも困ったものだ。

小生は竹島(韓国名:独島)の歴史的経緯については詳しくない。日本政府や右翼、韓国政府や韓国人のそれぞれの主張は知っているが、それぞれの根拠を比較調査したことがないので、どちらの言い分がよりもっともらしいのか、判断する根拠を持たない。したがって、このまま韓国が同島を実効支配する事態が変わるとも思っていないし、愛国心はあるがそれを武力に訴えてでも取り戻すべきとも思わない。

一方、従軍慰安婦問題については韓国の主張に理があるとは思わない。日本政府または旧日本軍が韓国人・朝鮮人の慰安婦を徴用したという事実がない以上、民間業者と民間人の間の過去の取引や雇用に関し、政府がくちばしを挟むことは許されない。たとえ暴力的な行為があったとしても、それは個別の犯罪として扱う(ただしこの場合には時効の壁が厳としてあるが)以外は、日本政府ひいては日本国民がその責を負うというのはおかしい。

単純に「従軍慰安婦は可哀そうだ。人道的観点から政府が救ってあげるべきだ」というなら、韓国政府が自己の政治判断としてすべきである。わんさといる日本人の従軍慰安婦には特段何もせず、韓国人・朝鮮人の慰安婦だからという理由だけで差別的に日本政府が日本国民の税金で救済するというのは、どう考えても筋が通らないではないか。冷たいようだそれが国際常識というものだ。ましてや、「ええかっこしい」の一部日本人が間違った義侠心で「日本の戦争犯罪」をでっちあげるのはもっと許せない。真の日韓友好のためには市民レベルでも本音の意見をぶつける場があってもよいと思うがいかがだろう。