“究極のリサイクル装置”に賭ける親子の夢

グローバル

3月24日放送の「夢の扉+」は「“不可能を可能に!”ゴミが資源に変わる~親子の絆が起こすリサイクル革命!」と題して、富山県の小さな会社が挑んだ“究極のリサイクル装置”開発の経緯を追ってくれた。

主役は富山県滑川市にあるエムダイヤの会長・森誠一さんと、その息子で社長の森弘吉さん。光ケーブルや携帯電話、小型家電やタイヤなどの異素材の混合物は、これまで分離が難しく、埋め立てや焼却処分されてきた。それらを1台の機械で、しかも一度の工程で破砕して素材別に分離できるという究極のリサイクル装置を開発したのである。しかしこれは生半可な苦労でできた製品ではない。

前身の会社の経営者である誠一さんは根っからの技術屋、その血が騒いだのだろう。多くの会社が断念した、とてつもなく難しい装置の開発に挑んで試行錯誤を続けるうちに開発費用がかさみ、3億円もの借金を重ねた。専務として資金繰りに奔走した奥さんの苦労も報われず、2001年に会社は倒産。

全てを失った誠一さん夫婦を支えてくれたのは友人の経営者。立ち直るよう励まし、再起の機会を与えてくれた。遂に装置を完成させる。そして長男の弘吉さんも立ち上がる。『もう母親を泣かせなくない。父親のコア技術をこのまま捨てるのはもったいない!』と、大手工作機メーカーを退職し、(「技術者としては凄いけど経営者としては尊敬できない」)父に代わって経営者として新会社「エムダイヤ」に参画する。その体当たりの営業の様子も素敵だった。

多くの展示会にも出展し、色んなメディアにも採り上げられるようになり、同社の破砕分離機は評判を呼んだ。日本産業機械工業会の「優秀環境装置表彰 中小企業庁長官賞」も獲得した。社長の弘吉さんのブログ(http://emudaiya.blog27.fc2.com/)でもそうした栄誉に対する喜びが伝わる。今や国内の通信、家電、自動車などの主要業界がこの装置を導入しており、同社の取引先リストにはそうそうたるところが名を連ねている。
http://www.m-dia.com/company/

中国への納品が決まり、欧米市場での展開も視野に入ってきており、富山から世界に飛躍する段階に入っている。こんな誇れる中小企業が増えることをニッポン人として望みたい。