究極のリサイクル発電を目指す研究者魂

ビジネスモデル

12月16日(日)放送の「夢の扉+」の録画を年明けに観て、感心した。その研究者、東北大の小濱教授、67歳のバイタリティに、である。

脱原発の代替案があれこれと取りざたされている。いや太陽光だ、地熱だ、いやシェールガスだ、メタンハイドレートだ、と。ここに全く異なる選択肢が浮上してきている。それがマグネシウムである。

小濱教授らが開発に情熱を燃やしているのはマグネシウム燃料電池。ほぼ無尽蔵の資源といえるマグネシウムには、酸化する際に発電するという特性がある。それを活かそうと幾多の研究者が過去取り組んできたが、ことごとく挫折してきた。発火しやすく電解液に溶けやすい特性も同時に持つので扱いにくいのである。このためマグネシウム燃料電池の大容量化は不可能とされてきた。しかし小濱教授らは、ある特性を持った「マグネシウム合金」を作ることで、この壁を突破しつつある。

彼らは使用済みとなった酸化マグネシウムを太陽光の熱によって精錬し、再びマグネシウムとして利用する技術も確立しており、順調にいけば究極のエネルギー循環社会を実現できる可能性があるという。

宣伝も兼ねて、小濱教授は技術的に一番難しいと考えられる移動体への搭載を決断。番組では、マグネシウム燃料電池による電動三輪車での走行実験(福島県~宮城県)に挑む姿が描かれていた。研究者魂を観る思いだった。遠くない将来、この技術が開花することを願って止まない。ニッポン発の「世界を救う」技術として。