白物家電の近未来

ビジネスモデル

では家電業界の例えば10年後の将来図はどう変わるのだろうか。さすがに家電業界全体だと広すぎるのと、その中で情報家電を中心に新しいカテゴリーがまだまだ生まれる可能性を考えると、とても予想すること自体が現実的でないと感じる。

もう少し範囲を限定して予想できそうな領域として白物家電を考えてみたい。この業界は情報家電に比べイノベーションの度合いが限定されてきた。この10年程度で出てきた「発明」を思いつくまま挙げても、掃除機のダイソンとi-robot、斜めドラム式洗濯機、LED電球くらいである。あとはちょっと小ぶりなマイナーイノベーションばかりで、例えばやはりダイソンの羽根のない扇風機、GOPAN、スチームオーブンレンジくらいか。むしろ大型冷蔵庫やエアコンなどの省電力化の進歩が目立つ。つまり技術発展は続いているが、新カテゴリーがどんどん出てくる時期はほぼ過ぎたといえよう。

この最近は短期間で勢力図が切り替わることはあまりなかったが、この点は今後どうだろう。その観点からすると、中国メーカーが台風の眼になると小生は観ている。既に世界の中進国や発展途上国での中国メーカーの躍進振りは凄まじい。日本メーカーが高級品にフォーカスして市場スキミングを行っている間に、韓国メーカーと中国メーカーが多くの市場を席巻しつつある。特に普及品についていえばハイアールの天下が近い。

しかもその触手は日本市場まで伸びてきている。彼らはホームセンターや家電量販店を中心に既に一定の売り場を確保しており、その存在感はますます高まるだろう。日本の消費者も今や以前ほど日本製にはこだわらなくなっている。日本の家電大手(家電専業、重電含め)は情報家電で受けた痛手を、少なくとも目先数年は白物家電の利益で補うことを経営戦略として考えているふしがあるが、どうやらそうは問屋が卸さなくなってきたようだ。