生レバー狂想曲

ビジネスモデル

7月1日から生レバーを飲食店で出せなくなることに伴い、ちょっとした駆け込み需要が発生しているそうだ。食べ納めとばかりに焼肉屋では生レバーの注文が殺到し、店もここぞとばかり仕入れた生レバーがどんどん売り切れになり、一種のバブルである。

「生レバー禁止例」に対する反対署名運動も展開されているそうである。いわく「新鮮な生レバーであれば問題ないので、管理を厳しくすればよい」とか「食文化に政府がくちばしを挟むのはけしからん」とのことらしい。

ちなみに、「生レバー禁止例」の理由は、新鮮でない生レバーの腐食による食当たりの危険ではない。いくら新鮮なものでも生レバーにはO-157などの細菌がある程度含まれているのである。その量と、食べた人の体力によって、食中毒が発生し、場合によっては生命の危険もあるのである。したがって「新鮮な生レバーであれば問題ない」というのは単純に認識不足の間違いである。

小生は基本的に、たとえ生命の危険があっても当人のリスクに収まる分には自己責任と考える。だからフグの肝については当人が「店の責任を問いません」という承諾書を事前に書けば、店で提供してよいと考える。

しかし生レバーに関しては少し事情が違う。まず親が子供を連れて焼肉屋へ行って、生レバーを注文し食べることが多い。するとつい子供も食べる可能性が高い。たとえ親が平気でも、体力のない子供には微量のO-157で致命的なことがあるのだ。大半の生レバー好きの親にこうしたリスクの認識があるとは思えない。

たとえその場で食べなくとも「巻き込まれリスク」はある。店で生レバーを食べた誰かが保菌状態のまま家庭に帰り、子供や老人に2次感染させる危険も十分ある。食べた当人が食中毒で死ぬのは構わないが、その家族まで巻き込む権利はないだろう。だから小生は生レバーの提供には反対なのである。