“民泊”を外国人観光客の受け皿に

ビジネスモデル

4/6のワールドビジネスサテライトにて放送されていた「”民泊”が抱える課題とは」は興味深いテーマです。

外国人観光客が急増する中、彼らの不満の一つは日本のホテル・旅館の設備の貧弱さと非合理性です。日本人でさえ狭くて高いと思うのですから、外国人にとっては理不尽過ぎますよね。日本の旅館業の人達が現状に甘んずることなく改善に努めるには、業界の外からそれに対抗し、圧力となる勢力が必要です。でも外資系ホテルは頼りになりません。高級ホテルしか作らないので。

そこで”民泊”、つまり民間のホテル旅館以外の施設を転用する仕組みが注目されているのです。ロンドンやオランダの例が紹介されていましたが、世界的な民泊仲介サイトのAirbnb(エアビーアンドビー)が日本でも活動を始めています。これは一般の人同士の部屋の貸し借りを仲介する仕組みです。同社は190ヵ国以上で約100万物件を提供しているそうです。日本でも広い家、空き部屋のある家は少なくないので、外国人との交流ができてちょっとした小遣い稼ぎになる、この仕組みを知れば興味を持つ人は少なくないかも知れません。

ただし課題もあります。日本では厚生労働省が管轄する旅館業法により、不特定多数の人を継続的に泊めるには都道府県の許可が必要です。一方、部屋や家の貸し出しを管轄するのは法務省の借地貸家法です。そのため個人同士が貸し借りするエアビーアンドビーのビジネスモデルをどの法律で管轄するのか整備できていない状況なのです。今は互いの良識と善意で順調に進展していますが、もし何らかのトラブルや犯罪が発生したときに、だれがどういう根拠でどう対処するのかが決まっていないのです。

日本にも民泊ビジネスを運営するサービスがあります。宿泊予約サイト「とまりーな」を運営する「百戦錬磨」です。東北を中心に約300軒の民家などを掲載しているそうです。
https://tomarina.com/?locale=ja

「農山漁村余暇法」により農業・漁業に従事していることが認められれば簡易宿所の開業基準が緩和される仕組みを活用しているそうです。客室の面積(旅館業法 33㎡以上)、風呂場やトイレ設置(宿泊者専用)、避難経路の設置などの点で規制緩和された扱いを受けることができるのです。

「百戦錬磨」社が指摘するように、こうした簡易宿所の開業を農業・漁業者だけでなく一般の人にも広げるべきですね。そうすれば訪日外国人の宿泊受け皿不足も緩和され、彼らの不満を和らげることができます。実際のところ、日本には今、空き家が急増しています。外国人には貸したくないという人たちは無視するとして、需要と供給が一致する点があるはずです。