極小内視鏡ハサミが世界の患者を救う

グローバル

11月26日(火)に放送された「ガイアの夜明け」は「世界を救う…町工場の医療技術」。

以前番組でも紹介した長野県岡谷市にあるリバーセイコー。内視鏡の先端に取り付ける極小ハサミを製造している、従業員40人ほどの町工場だ。小さい上に細かく動くため、がんを切り取りやすいと医師の間で口コミが広がり、2012年には保険医療の対象になり、今や全国700の病院で使われているという。消化器を中心とした早期のがん切除手術で数多く用いられるようになった。

匠の技でハサミを手作りするのは、自らもがん患者である西村幸会長(63歳)。「がん患者が自分で作るというのは強いよ」と、自分と同じくがんで苦しむ人を一人でも多く救いたいという思いでハサミを作り続けている。0.3mといった微小な部品を手造りしているので、一日にそう多くの製品は作れない。ましてや少し前に心筋梗塞も発症し、まさに命を削りながら患者のために製品を作り続けているのだ。

日本だけでなく、西村さんの目は海外にも向き始めている。今回自慢のハサミを届けることになったのはブラジル。現地の名医から、西村さんの開発パートナーである日本海総合病院の本間清明医師が、極小ハサミで直腸がん患者を手術してみたいというオーダーを受けたのだ。しかし、日本人と外国人では内臓の壁の厚さや脂肪の多さなどが違うという。

そこで新たに最新型(滑り止めのために、極小のぎざぎざの歯がついている!その加工は神業としか云えない)の極小ハサミを開発・製造することになったのだ。依頼を受けて3週間、心配で見に来た本間医師。没頭して作り上げた後、体調の不安から長距離移動に耐えられない西村さん自らは現地に行けないため、本間医師にハサミを託した。

果たしてニッポンの町工場で生まれたハサミは、海外の患者を助けることが出来たのだろうか。午前4時、心配で眠れない西村さんだった。…しかし最新型のぎざぎざハサミはその威力をいかんなく発揮した。見事に脂分で滑るはずの患部を捉え、切除し切ることができたのだ。

さらに西村さんは新工場を立ち上げ、これまでの3倍である月3000本の製造が可能になった。そこでは最新のレーザー加工機が揃っていた。「これで世界の患者を助けることができる」と、西村さんの顔は誇らしげ だった。日本の技術が世界を救う。素晴らしきビジョンが現実になろうとしている。