椿本チエインの「挑戦し続ける」企業文化は創業者譲り

グローバル

少し前にロジ関連の仕事が集中していた時期があり、その際にいくつかのマテハンや倉庫関係の注目すべきシステムとそのメーカーを調査したことがある。そこには確かにこの企業も含まれていた。

カンブリア宮殿で3月31日に放送されたのは『万物を動かすチェーンを極めて100年!
世界NO.1の強さを生む挑戦&突破力!』、フィーチャーされたのは、産業用チェーンの世界トップメーカーである椿本チエインだ。

会長の長勇(おさ いさむ)氏がスタジオに持ち込んだのは多種多様なチェーンだったが、それでも全製品2万種の1%にも満たないものだという。

特に興味深かったのは、2本のチェーンをジッパーのように噛み合わせ、硬い1本の棒状になる「ジップチェーン」。自動車工場やコンサート会場などで、重量物の昇降機や押し出し機として広く使われるようになっているそうだ。全然知らなかった。

1年間に長さ2万5000キロも製造し、国内で生産される自動車の10台中7台が、その
エンジンに椿本チエインのチェーン製品を使用しているという。椿本の強さはその品質と耐久性。同社のチェーン製品はたるみができにくく(内部構造に独自形状の油だまりを持つ)、競合する中国製などと比べ数割程度の価格差があっても、故障せずメンテナンスしやすい同社の製品が結局は選ばれるという。

こんな競争力のある製品を常に開発してきた原動力は、業界トップに甘んじることなく、10年ごとに基本商品であるローラーチェーンを進化させ続けるプロジェクトを実施してきたからである。そうした、新市場に果敢に挑む挑戦心は創業以来の企業文化であるという。

これは創業者・椿本説三が創業事業である自転車用チェーンを創業わずか11年で撤退し、将来性が見込める産業用チェーンにビジネスを転換したことに始まるという。さらにその8年後にはチェーン技術を足がかりに、大規模な工場用コンベアプラントの分野に挑戦、現在の搬送システム事業の礎を築いたのだ。なんとも素晴らしい企業文化だと感心した。