東芝はどこに向かおうとしているのか

グローバル

優良子会社を次々に切り売りする東芝。経営陣は「上場維持のために苦渋の決断だ。背に腹は代えられない」と言い訳をするのだろう。しかし上場維持を最優先することでスカスカの企業グループになってしまって何の意味があるのか、素朴な疑問が湧き上がって仕方ない。

東芝が2011年に買収して子会社化していたLandis-Gyr(ランディス・ギア)をスイス証券取引所に上場させ、60%になる保有株をすべて売却したとの報があった。
http://asia.nikkei.com/Spotlight/Toshiba-in-Turmoil/Toshiba-to-reap-360m-profit-on-Landis-Gyr-IPO

東芝にとっては1617億円の売却額をもたらし、(税金など差し引いても)約400億円もの利益になるそうだ。ひどく財務が痛んでいる東芝にとって大いなる恵みをもたらしてくれた「孝行息子の独立」と見る向きも多いだろう。

しかし小生のブログに前にも書いたが、このスマートメーター会社を買収した狙いは全く果たされていない(小生の友人は経営の自由度も増し、この上場に大いに喜んでいるようだが)。

このタイミングで高値で売り抜けることができたのはたまたまの幸運に過ぎない。この一連の経過を見る限り、東芝という巨大会社の経営能力の低さを世の中に露呈しただけというと酷だろうか。

既に手放した東芝メディカルしかり、ただいま入札騒動中のメモリー事業しかり、そしてこのランディス・ギアしかり。上場廃止を避けるために、必死でぴかぴかの優良子会社を切り売りしている。この結果、東芝に残るのは厄災の種である原子力事業と、経営能力に欠ける経営陣だけということになりかねない。実に不可思議、本末顚倒の動きだ。

目先の体裁のためにこんな中身の薄い企業になってしまって、いったい東芝社員は誇れるのだろうか、経営陣以外の誰がハッピーになるのだろうか。大きな疑問だ。