日本の農業が儲かるようになるには知恵が決め手

ビジネスモデル

7月1日の「ガイアの夜明け」は「画期的アイデアが人気農産物を生む!」でした。

高齢化と後継者不足を背景に、日本の農業の就業人口は減少を続けています。加えて、農作業が重労働であることや、儲からないということによって、農業の成り手が少ないというのも事実です。そこで、画期的な技術で農作業の負担を減らし、儲かる仕組みを作ろうという新たな取り組みを紹介してくれたのが今回の番組です。すごく納得できた回でした。そして「やっぱりJAじゃないんだ」と思いました。

養豚農家も今、廃業をする人が増えているといいます。飼育などの作業が重労働であるとともに、餌となる飼料が高騰し、多くの養豚農家が経営難になっているためです。 JAだけが儲かり、肝心の農家が衰退する典型的なパターンです。

そこに、日本の養豚業に変革をもたらそうとする男、日本フードエコロジーセンター社長の高橋巧一さんが現れたのです。食品メーカーなどから排出される食品廃棄物(食べ残しではありません)を(産廃より格段に安く)引き取り(つまりお金をもらって原材料を入手し)、再利用して豚の餌を作ろうと考えたのです。そうすれば、増えるごみ問題と、養豚場の経営問題の両方を一挙に解決できます。なるほど。

人間の食料と同じものを好む豚には向いているのですね。パン、ご飯、うどん、そば、そして野菜や果物などを破砕し、乳酸発酵した「リキッド発酵飼料」。果たせるかな、それは脅威の優れ物でした。豚も最初は戸惑うのですが、食べてみると美味しいのでしょう。ガツガツといった具合に食べ、しかも肉質が柔らかく美味しくなるのです。何と肉の買取価格が倍程度になるという嬉しい驚きです。しかもえさ代は半分程度です。日本の養豚農家を救う画期的なアイディアじゃないですか。素晴らしい。

もう一つはイチゴの話。今、イチゴは熾烈な品種開発戦争、ブランド戦争が行われています。 スーパーなどの店頭で一番目立つ場所にあるのは、栃木県の「とちおとめ」や福岡県の「あまおう」などの人気ブランド。

国内市場にイチゴのブランドは100種以上もあるため、そんなブランド戦争に立ち遅れているイチゴが多くあります。群馬県の「やよいひめ」もその一つ。ブランド力がないと、良い売り場に置いてもらえなくなり、販売価格は抑えられ、生産している農家の収入も限られてしまうのです。

そこで奮起したのが群馬県・農業技術センターの大海さつきさん。「ドライいちご」という戦略発想を思いつきました。

「やよいひめ」の甘さは「とちおとめ」や「あまおう」に引けをとらず、香りが強く、果皮がしまっているので、ドライいちごに向いているというのです。しかもスライスした断面の模様が鮮やかで、美味しそうに見えるのです。彼女がイチゴ農家と協力しながらドライいちごを商品化し、有名洋菓子店にも売り込んでいこうと奮闘する姿が紹介されていました。これまた素晴らしい。

いずれも本来なら地元のJAがすべき仕事ですが、巨大組織に胡坐をかいた彼らにはそんな能力・意欲はないのかも知れません。高橋さん、大海さんのような工夫ができる人材こそが地域の農業を再生するのだと思います。応援したいですね。