日本の現場の凄さは正しく客観的に伝えよう

BPM

12月20日に放送された「世界が驚いたニッポン スゴーイデスネ視察団」(テレビ朝日系)はなかなか面白かったです。それぞれ海外先進国から専門家を招いて、日本の食品現場のやり方を視察してもらい、「ニッポン スゴーイデスネ!」と言わせようという魂胆の番組です。

実はこの手の番組は最近多いので、ひんしゅくを買っている側面もあるようですが、実際に日本人の視聴者も「そこまでやっているのか」と感心することが多いかと思います。

この日の番組では「食の安全SP」ということで、食品スーパー、食品工場、浄水場の3箇所を「視察」していました。今回は米国と英国から1人ずつ専門家を招いて、「ウチでもこうやっている、これはやっていない」といったコメントを受けていました。それぞれの「感心」ポイントは次の通りです。

【スーパー】
・生魚を傷みにくい状態で提供するための冷塩水処理など(生魚の処理に関しては英米よりもはるかに日本のほうが先進的ですから、感心していることばかりだったと思います)。
・総菜を揚げる油の劣化を確認するのに試験紙を使うこと(これは科学的ですね)。でも反面、総菜売り場にカバーをしていないことを指摘されていました。客(子供など)がせきやくしゃみをしてウイルスをまき散らしても防げないことを意味するので、小生もいつも気になっています。だからそうした売り場では絶対に買いません。

【食品工場】
・チリゴミや髪の毛を取り除くための粘着ローラーで入室後の合計3回も使うこと、しかも作業中の作業者に対しさらに粘着ローラーを使う専任のスタッフがいること。この徹底した衛生管理には英米の専門家も”Again?”と驚嘆していましたし、小生もそのしつこさに驚きました。でも多分、これはJapanese standardではなく、この工場が特別しつこいと思えます。
・塩水で安全かつ丁寧に洗われた自動野菜洗い機とその後の人手を掛けたチェック。前に別の工場での様子もこんな感じでした。やはり日本は中国とは絶対的に違うと感じます。
【浄水場】
・テイスティングをして水の安全を守る専門家がいたこと。これは他の国ではやらないでしょう。日本でも一部だけかと思います。
・金魚を使って異変を速やかに察知する仕組み。これも日本独特だと思います。

特に水ビジネスについて少し前に研究したばかりなので、浄水場については非常に興味深く観ました。この番組で取り上げた東京都水道局の金町浄水場は全国的にも大規模かつ先端的なところなので、これを観ただけで日本の浄水場はすべてこんなに高い水準にあるなどと勘違いしてはいけません。

この番組の欠点として、日本でもトップレベルのところを外国人専門家に見せて「どうだ、ニッポンの技術は凄いだろう!」と自慢するようなところがありますが、平均的な水準ではないことをきちんと外人専門家にも視聴者にも伝えるべきですね。