日本の国際支援・貢献は「情けは人のためならず」を実践している

グローバル

12月23日の「未来世紀ジパング」は「池上彰の年末SP 知られざるニッポンの”貢献力”」と題し、世界を舞台にした日本の国際支援・貢献に焦点を当てた。

番組ではこれまで2年にわたって、世界の沸騰現場で活躍する日本人や日本企業を取材してきた。その中で、何度も聞こえたのが、日本の支援・貢献を評価、感謝する現地の人たちの声。苦しい時期も含めて日本が脈々と培ってきた”貢献力”とは、日本だからこそできる貢献とは何なのか?改めて考える機会を与えてくれた。

今回、ナビゲーターの池上彰が番組MCのシェリーとともに、向かったのはバングラデシュ。バングラデシュは「アジアの最貧国」の一方で、「ソーシャルビジネスの中心地」ともなり、いま世界から注目されている。

ベンガル人の国、バングラデシュの人口は1億5千万人。アジアの最貧国。国旗がよく似ており(緑地に赤丸)、「好きな外国第1位」に日本、「重要な国第1位」も日本と、極めて親日的な国なのである。その理由は、日本の“貢献”の歴史だった。1971年のパキスタンからの独立宣言後(独立戦争では300万人が死亡!)、最初に同国を独立国と承認したのが日本だった(このことを同国では学校で教えている)。独立後も苦難の道を歩む同国を、官民あげて日本からの支援(資金、技術)が繰り広げられたのである(例えば500もの橋を建設している)。そしてそれは(中国とは大いに違って)同国ではきちんと広報され(援助で完成した施設に表示されている)、人々に認識され、感謝されている。

番組でもユニクロで売られていた、バングラデシュ人デザイナーがデザインしたTシャツが紹介された。JAPANの5文字を頭文字にJoy, Agony, Pain, Aspiration, Nothing is impossibleと表され、日本のGDPのグラフが表示されている。つまり「日本だって色々と苦労したが、ここまで凄い経済大国になったんだ。おれたちも目指そう!」という趣旨だという。なんと深い意味を持つTシャツだろう。

バングラデシュの有名人といえば、ノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス氏。貧しい人向け融資システムの「グラミン銀行」(ロゴは家のマーク)の創設者である。今やバングラデシュは「社会貢献ビジネス」を志す人や企業が集中する“中心地”となっている。ダノンなどのグローバル企業がグラミンと組んで、商品を開発し販売している。

ユニクロも「グラミン・ユニクロ」ブランドで、バングラデシュの人々に向けた格安カジュアル衣料を開発し、店舗展開しているのは以前このブログで採り上げた通り(この様子も番組冒頭で映していたが、番組の取材は開店初日のようで、随分繁盛していたが、実際にはこのあと大変苦労している)。今、「グラミン・ユニクロ」は店舗だけではなく、グラミン・レディーの手で拡販されている。

雪国まいたけもまた、グラミン銀行の支援を受けて緑豆(もやしの種)栽培をバングラデシュで拡げようとしている。当初は協力農家を集めるのに随分苦労していたらしいが、今では8000世帯ほどの農家に増えて収入増にも貢献しているそうだ。その緑豆からできたもやしは中国産と変わらない品質で割安だという。

場所は変わって、フィリピン。今年同国を襲った大型台風30号。これまでの死者数は5,700人。いまだ1,800人の行方がわかっていない。その被災地では、日本の支援活動“トモダチ作戦”が展開されていた。最前基地への取材である。タクロバンからヘリで向かった先は、自衛隊の護衛艦「いせ」。洋上の拠点を置き、フィリピンの要請に応じて部隊を次々と派遣していた。実は、自衛隊の海外派遣は過去最大、派遣数は約1,200人にも及ぶ。日本の新たな支援、貢献のモデルを目指しているという。発生以来1ケ月経って衛星状態が危惧される瓦礫に対し、消毒活動をする日本の自衛隊員に感謝の意を表する住民たち。これも東日本大震災の恩返しだという。そして災害大国・日本の自衛隊にとって災害支援は「得意技」なのである。

フィリピンの被災地にかけつけた日本赤十字の医療チーム。その中に一人で地域を回り、子供たちに声をかけて回る日本人、臨床心理士の森光玲雄さん。東日本大震災の際には南三陸で「こころのケア」に従事した。フィリピンでも親を亡くしPTSDに苦しむ子供たちが続出しており、森光さんは日本での経験を生かし、子供たちのこころの声に耳を傾ける。とても素敵な支援である。

どれも同じ日本人として誇らしい国際貢献である。軍事力に頼れない、頼らない日本の安全保障は、経済力以上に、支援の積み重ねによる他国からの感謝・信頼であろう。経済力だけに頼っていては、それを失ったとたんに石持て追われかねない。領土的野心丸出しの中国、僻み根性の韓国がどんな嫌がらせをしてきても、それ以外の国から「日本はいい国だ。あなた達こそがおかしい」と声を上げてもらうことが、日本を滅ぼそうとする邪悪な意図を挫いてくれるはずだ。